コマーシャルオープンソースへの道(最終回)
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さて、長々と書いてきた「コマーシャルオープンソースへの道」シリーズは今回で終了です。
2007年以降、「共同開発モデル」とSaaSに代表される「運用モデル」が一体化することを最後に述べなければなりません。
世界規模のデフレ基調の中ではソフトウェアの価格も上昇せず、ソフトウェアベンダも儲かりません。その中で、高品質なソフトウェアを提供できるようにするには、ユーザとベンダの共同開発モデルが必要です。ただし、そこではベンダの主導権が必須であり、草の根活動のオープンソースは衰退してゆくでしょう。今後はこの「ベンダの推進力」のみに付加価値が残り、営業力、マーケティング力などの間接部門の価値は徐々に低下すると思います。
一方で、好きなアプリを好きな時に好きな場所で動作させることもユーザ要件の一つです。こちらもデフレ基調の中で、サーバ、ネットワーク、OS・ミドルウェアといったインフラの付加価値は急激に低下し、自在な運用環境を作れるプロバイダのみが生き残れるのではないでしょうか。
この2つはユーザの業務要件とシステム要件を実現するものですから、ユーザの業務の変革速度が早まると(競争が激しくなると)、これらに対するニーズが高まり、ますます高度な開発モデルや運用モデルが登場するでしょう。
まさにユーザ天国ですが、ユーザは喜んでばかりはいられません。この世の誰もが高品質な業務アプリを使える時代に突入するわけですから、ITの先進性だけでは差別化ができなくなります。作業指示、KPIの診断、平準化などはすべてITで可能になりますから、他社が真似できないような人間レイヤの得意技を解析して独自にIT化するといったオモシロイ世の中になるかもしれません。
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