SNSを使った「ものづくり」は幻想か?
企業のプロダクトマーケティングにSNSなどのネットコミュニティを用いる手法が話題ですが、SNSはやはりツールであって主役ではないのだろう・・・とあらためて思います。
吉川さんのエントリ-では「ネットコミュニティを使った商品開発は“顧客知”活用型のナレッジマネジメントとしては代表的な取り組み」と紹介され、さすがに専門家だけあって、世の中のアヤシイ動向を一発で文章化されています。一方で、吉川さんも言及されている悲観論にも「なるほど」と思わされます。
さて、SNSではなく、「オフ型」のコミュニティの事例。
弊社社長は大の自転車マニアで、関東周辺はもちろん、自転車を担いで日本のアチコチに出掛けては走り、年間で1,600kmも走破するとのこと。彼の情報によれば、シマノの自転車部門には非公式の「ユーザ会」なるものがあり、「先端的な自転車乗り」を集めては意見交換を行い、新機能、新部品、新サービスなどの格好のネタ集めの場になっているそうです。現実に商品化され高く売れたアイディアも多いそうですね。
ちなみに、私が参画しているコマーシャルオープンソースの「SugarCRM」でも、やはり、CRMを使いこなす先端ユーザによる議論が活発で、その議論がコミュニティ全般を誘導しつつあります。
こういう事例を見ると、企業のものづくりの原動力はアーリーアダプターに受け入れられるような高付加価値のアイディであり、そういうアイディアを出せる人材が揃ってこそ、ユ-ザと企業の交流が意味を持つわけですね。そのためには、アイディアを出すほうのユーザに非常に高いモチベーション(楽しさ、貢献、名誉、ライフスタイル、etc.)も必要でしょう。そして、それがシマノのようにオフの場で出来ればそれでよく、また、SugarCRMのようにフォーラムやメーリングリストだけで出来る場合もあります。
SNSがあるから次世代のものづくりが出来るわけではなく、高いモチベーションを共有できる人的なネットワークがあることが重要なんでしょう。そのようなネットワーク作りを丁寧に行う姿勢が企業側にも求められますね。
SugarCRM社幹部と「和風」人脈づくり・・・