GoogleがAdMobを7億5千万ドルで買収!
モバイル広告で有名なAdMobをGoogleが買収することが発表されました。その額、7億5千万ドル、日本円換算で約700億円。Googleがモバイル広告市場の大きな成長を見込んでいることを示す金額であり、今後のモバイル広告ビジネスの評価に影響を与えるのは間違いありません。
Googleの告知:Investing in a mobile future with AdMob
AdMobの告知:Google to Acquire AdMob
つい先日、CEOのOmar氏にイベントで会って、いかにiPhone向け広告が急成長しているかという話を聞き、Googleも参入してくるのではないかなどと質問したりしたのですが、まさかこんなに早くこんなニュースに接するとは思ってもいませんでした。
AdMobは、日本ではまだ知らない人も多い会社かもしれませんが、2006年4月に米国シリコンバレーで創業し、モバイル広告に特化した会社です。有名なSequoia CapitalやAccel Partnersの出資を受け、iPhoneをはじめとするモバイル機器の成長に合わせて急成長、シリコンバレーの注目企業の一つでした。
Googleのオフィシャルブログによると、今回の買収の背景を次のように説明しています。
- iPhone and Android users browse the Internet more often than anyone else, contributing to Google's 5x mobile search growth over the past two years
(iPhoneとAndroidのユーザーは、他のどのユーザーよりネットを閲覧しており、過去2年間、グーグルのモバイル検索の5倍の成長を牽引している。)- And a quarter of these same iPhone and Android users spend nearly 90 minutes per day using applications on their devices
(iPhoneとAndroidユーザーの1/4は、その機器のアプリケーションの利用に1日に90分近くも費やしている。)
つまり、モバイルと言っても、明らかにiPhoneやAndroidなどの「スマートフォン」がターゲットであり、その市場の将来を評価しているということです。
Googleは、これまでにもDoubleClickを買収したり、ゲーム内広告のAdScapeを買収するなど、自身の収益源である広告分野でも買収を行っていました。ロイターによると、「GoogleのCEO、Eric Schmidtは、先月、Googleは企業買収の再開に関心を持っている。平均月に1社程度になるだろう」と話していたとのことですが、それを象徴する出来事とも言えるでしょう。
Google CEO Eric Schmidt also said last month that the company was interested in resuming its acquisition efforts, after taking a breather during worst of the economic downturn. Schmidt said Google would acquire on average one company a month. - Reuters
それにしても、相変わらずシリコンバレーのスピードとダイナミックさには舌を巻きます。つい先週末も、日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口氏を招いて青山学院大学大学院で技術ベンチャーの講座を開催し、その中でもシリコンバレーのダイナミックさを話題にしたのですが、創業から3年半の企業が7億5千万ドルになるという、まさに「シリコンバレー物語」を地でいくような話が世界的不況と言われる今も健在だということです。
今回の7億5千万ドルという金額は、日本の上場企業の時価総額(11月9日現在)で言うと、サイバーエージェント(744億円)、ワタミ(722億円)、吉野屋(694億円)、アスクル(679億円)などに匹敵する金額です。AdMobがプライベート企業のため、財務的にどのような評価によるものなのかわかりません。しかし、いずれにしてもGoogleがスマートフォン向け広告の将来に大きな市場を見ていることがわかる金額であり、インフォテリアをはじめとするスマートフォンに市場に賭ける企業にとってもGood Newsです。
[2009/11/10 5:57] 匹敵する日本企業の時価総額を追記。