100年時代のITエンジニア人生戦略
遅ればせながら、「LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略」(以下、LIFE SHIFT)を読んでみました。これを読みながら、「100年時代のITエンジニア人生戦略」について考えてみました。
このブログでは、LIFE SHIFTの内容についても少し紹介していますが、あくまでも一部分の紹介なので、興味を持たれた方はぜひ書籍を読んでいただければと思います。
100年時代の資金戦略~なぜ、ITエンジニアは今、「人生戦略」を考えるべきなのか?~
なぜ、ITエンジニアは今、「人生戦略」を考えるべきなのでしょうか?
やはりお金の面からスタートするのが分かりやすいと思います。
LIFE SHIFTでは、以下の3人のロールモデルが登場します。
- ジャック 1945年生まれ
- ジミー 1971年生まれ
- ジェーン 1998年生まれ
このブログの読者は、30代~40代くらいが多いのではないでしょうか。ジミーはちょうど我々世代、ジャックは親の世代、ジェーンは子供の世代になります。
ジャックは、現在の標準的な職業人生「3ステージ」をおくります。
「3ステージ」とは、
- 大学卒業後、多くのひとは22歳で企業に就職。(※LIFE SHIFTでは20歳)
- そのまま同じ企業で勤め上げ、60歳で定年退職。(※LIFE SHIFTでは途中転職もありつつ、62歳でリタイア)
- 70歳で人生を終える。
というものです。
現役時代に毎年所得の4%ちょっとを貯蓄すれば、公的年金や手厚い企業年金に支えられ、引退後10年間の人生を最終所得の50%の所得で生活することができます。
では、我々世代のジニーはどうでしょうか?
なるべく日本のITエンジニアの実態と合うように、LIFE SHIFTとは条件を変更してシミュレーションしてみました。
条件は以下です。
- 長期の投資利益率は、2% ※LIFE SHIFTでは3%。
- 22歳で就職。初年度の所得は400万円。 ※LIFE SHIFTでは具体的な金額は無かった。
- 所得上昇のペースは、当初3%。50歳からは2%。55歳で1,000万年になりそこからは上昇無し。 ※LIFE SHIFTでは最後まで3%だったが修正。
- 65歳で引退。 ※LIFE SHIFTと同じ。
- 退職金として2,000万円を受け取る。 ※LIFE SHIFTでは退職金や企業年金は無し。
- 老後の生活資金は、最終所得の50%。つまり500万円。 ※LIFE SHIFTと同じ。
- 引退後は公的年金が最終所得の20%ある。 ※LIFE SHIFTでは10%。
- 90歳で人生を終える。 ※LIFE SHIFTでは85歳。
親世代のジャックと同様、毎年所得の4%を貯蓄した場合、引退時の貯蓄(退職金を除く)は約1,900万円。
退職金2,000万円をもらっても、80歳で資金がショートしてしまいます。
LIFE SHIFTにもありますが、これは控えめな数字であり、実際の引退後の生活資金は最終所得の50%を超えることが多いようです。また、医療費が増えるなどは考慮していません。
もし90歳まで生活するのであれば、現役時代に所得の8%以上を貯蓄に回し、65歳定年時に退職金と合わせて約6,000万円の貯蓄が必要となります。
これが、ITエンジニアが今、人生戦略を考えるべき理由です。
AIによってITエンジニアの職はどうなる?
LIFE SHIFTには、人工知能(AI)によって雇用がどう変わるかの記載もあります。
ITエンジニアは、人工知能(AI)が普及したとしてもそれらを活用するための仕組みを開発する側であり、継続して職業としての需要はある(むしろ高まる)と考えられます。
しかし、マニュアル化できる業務は自動化されたり、AIに置き換え可能なため、システム運用に関する業務などは無くなるかもしれません。
また、未来は誰も予測できないため、ITエンジニアとしての職業がどうなっているかは誰にもわかりません。
少なくとも、会社という意味では、現在の会社が将来も安泰である保証はどこにもありません。最近では、東芝などの例を見れば明らかです。
今後は生涯同じ会社で勤め上げるというのは、期待しないほうがよいでしょう。
いすれにしろ、環境の変化に柔軟に対応できるよう、準備をしておくことが大切です。
では、どうすればいい?~100年時代のITエンジニア人生戦略~
では、ITエンジニアはどうするべきなのでしょうか。
基本的な戦略としては以下です。
- 預金を増やすより、働ける期間を増やす。
- 環境の変化に柔軟に対応できるように準備しておく。
- そのために、有形の金銭的資産だけでなく、「無形資産」を増やす努力をする。
まず、「働ける期間を増やす」について説明します。
前述した、ジミーのシミュレーションで、以下のように条件を変更してみます。
- 40歳で転職。退職金800万円を得る。
- 転職によって、新たなスキルを身につける。
- その後の所得上昇のペースは、1%。(ひかえめにした)
- その後もスキルのメンテナンスに務め、80歳まで働く。おそらく会社は数回変わっているだろう。
- 最終年収は1,000万円。
他の条件は同じです。
この場合、ジミーは年収のわずか1%を貯蓄するだけで、90歳(シミュレーションでは89歳)まで生活することができます。
こちらのほうが、はるかに現実的なシミュレーションではないでしょうか。
これを実現するためには、「無形資産」が重要だとLIFE SHIFTでは説いています。
これは、
- 所得を増やすための、それぞれの時代に適したスキル、知識
- 活力を維持するための、健康や家庭環境
- 変化に対応するための、人的ネットワークや取り組み姿勢
といったものです。
ITエンジニアが今するべきことは?
以上をふまえて、ITエンジニアが今するべきことは何でしょうか。
異動
重要なのは「無形資産」を増やし、例えば会社に何かあったときでもすぐに転職できるよう、また定年後に他の職場につけるよう、自分の市場価値を高めることです。
これは会社にいてもできます。
例えば上司に交渉して、新しいスキルを身に付けられるよう、コンサルティング部門や営業部門に異動させてもらう、といったことが考えられます。
副業
最近では副業OKの会社も増えてきています。
副業は新しいスキルや人的ネットワークを構築するための優れた方法になります。
例えばユーザー企業の業務を理解できるような副業であれば、ITエンジニアにとってすばらしい体験になるでしょう。
外部のコミュイティに参加する
上記以外にも、ボランディア活動など外部のコミュニティに積極的に参加したり、自主的に研修を受講したり、といった方法もあります。
転職
転職も有効な手段です。
しかしここで注意しなければならないのは、その転職が「無形資産を増やす転職がどうか」です。
これは大変重要です。
よくある転職は「今あるスキルや知識を活かして、ポジションをアップさせる」ものだと思います。
しかしこれは、年収をアップさせる代わりに無形資産を消費し、減らすことになります。
これを繰り返しても、働く期間を長くすることは難しいでしょう。
転職先は、新たなスキルや知識を得ることができ、人的ネットワークが広がるようなところにするべきです。
例えば、中小のIT企業などは良い候補になり得ると思います。
フリーランス
これも前述の転職と同様です。
フリーランスは、新たなスキルや知識を身に付け、人的ネットワークを大きく拡げるチャンスになり得ます。
しかし、現在の無形資産を消費するだけにならないよう、注意する必要があります。
起業
起業するとほぼ強制的に、新たなスキルと知識を得て、大きく人的ネットワークを拡げることができます。
(好むと好まざるとにかかわらず、それをやることになるでしょう。)
もちろんリスクもありますが、万が一失敗しても、そこから再就職したり、フリーランスのITエンジニアになる選択肢もあります。
個人的にはそれほど大きなリスクではないのではないかと思います。
最後に
80年まで働くとして、今40歳であればあと40年働くことになります。
そうなると、従来のように「仕事は収入を得るため」「余暇は別の好きなことを」というのでは辛くなるでしょう。
まずやるべきことは、自分を見つめ直し、「自分は何をやりたいのか、やるべきなのか」「ITエンジニアという職業が好きなのか」を自分に問うことです。
また、LIFE SHIFTで繰り返し出てくるフレーズに「レクリエーションから、リ・クリエーション」というものがあります。
余暇を娯楽(レクリエーション)だけして過ごすのではなく、自己の再創造(リ・クリエーション)の時間として活用するべき、というものです。
当社も今後、ITエンジニアの「リ・クリエーション」のためのセミナーを企画していきたいと思います。
また、起業を考えているひとには、ぜひ「オープンソースビジネス勉強会」にも参加していただければと思います。
3月13日(月)に、当社オフィスにて勉強会を行います。
3月13日(月)に、当社オフィスにて勉強会を開催します。今回ご紹介した新規ビジネスのための4つのアプローチも、勉強会の中でも検証していきたいと思います。
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