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(今更)ライフスタイル認証は役立つの?

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何年も前から提唱・研究されていたようですし、認証技術に興味ある方はとっくに知っていることでしょうが、きっかけは、昨年12月にWebで見た三菱UFJニコス 角田社長のインタビュー(新聞記事の一部)でした。
「プラスチックカードのない世界」が来る 行動パターンで個人を識別
その中に次のようにあります。

我々は東京大学などと共同で、カード保有者の行動パターンで本人を識別し、決済を認める『ライフスタイル認証』を研究しています。カード保有者の位置情報やWiFiの情報などから、その人の行動パターンを蓄積し、カードを使うことなく決済します。プラスチックカードはなくなっていくと思っています

契約者(カード保有者とおっしゃっていますが、カードは無くなるらしいので)の行動パターンを追えると言うことは、何らかの契約者を識別する情報があるでしょう。プラスチックカードは無くなるかもしれませんが、識別情報(例えばスマホ)を持っているのだから、Passkey等で十分なのでは?

検索したら、三菱UFJニコスのサイトにも「業界の先陣を切って、安全で快適な社会の実現を目指」す、と勇ましいことは書かれていますが、技術的な裏付けは分かりません。単に認証に名を借りて、行動パターンという貴重な個人情報を集めたいだけでないかと勘繰ってしまいます。

そもそも、行動パターンは精度が低すぎるでしょう。本人によるちょっとしたいつもと違う行動で認証されないことに対処するためにパターンの認識を粗くしたら、スマホ等を盗まれたことも検知が困難になります。例えば、寄り道でいつもと違う場所に行くのと、盗難されたことの違いは何でしょう? 緩くすると危険ですし、厳しくしたら、ライフスタイル認証を使えない局面が多すぎるようと思います。さらに旅行に行ったら、例外だらけです。

これくらいのすぐに思いつく単純な疑問に対する回答が用意されているだろうと、調べましたが、わかりませんでした。

まず、東京大学に三菱UFJニコスの寄付講座がありましたが、説明には疑問を解決できる情報はありませんでした。
次世代個人認証技術講座(三菱UFJニコス寄付講座)
評価用のiOSアプリ、MITHRA3がまだ公開されてますが(最終更新は7ヶ月前)、もう機能していないのか、僕の行動パターンがイレギュラーなのか、使い方が悪いのか、一ヶ月試しても機能しませんでした。

また、次世代個人認証・行動解析技術講座もありますが、昨年7月31日で終了しているようです。

東京大学の成果を利用したらしいサービスはありました。
統合認証サービス MistyAuth
ライフスタイル認証は5種類の認証方式の一つで、使用例として「いつものスーパーなどでの便利なお買い物に」が挙げられていました。ビジネスとして提供しているのですから、一定の精度はあるのでしょう。使えそうな感じもしますが、これだけのために僕は個人情報提供する気はしませんし、従来の支払い方法を超えるメリットを感じません。

なぜ三菱UFJニコスが力を入れているのか、わからないで終わりました。

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