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NHKの視聴調査実験発表で、危ういことを知る

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先週、一部で話題になった、NHKのリリース。
関東地方の1都6県における視聴調査実験について
ITmedia記事はこちら。
NHKが視聴調査実施へ、ネット接続テレビやフルセグスマホなどが対象

IPアドレスは取得するものの、「不正アクセス検知の目的のみに利用し、分析には利用しない」、「正常なアクセスと判断したIPアドレスは速やかに削除」、個人情報ではないとして、ユーザーの事前同意は不要と判断しているそうです。
取得するのは以下情報です。

  • 視聴中のチャンネル情報・番組の視聴時刻の情報(NHK総合とEテレ)
  • 同一のテレビ受信機を一意に識別するためにNHKのサーバーが発行するID(以下、「計測用ID」といいます。)
  • 視聴者情報の送信設定(送信する/送信しない)の状態
  • IPアドレス
  • 受信機に設定されている郵便番号
  • HTTPリクエストヘッダーに含まれるユーザーエージェント情報
  • アクセス時刻
  • 受信機製品情報

「画面には表示されないデータ放送画面(いわゆる「透明スクリーン」)が起動」で情報を取れるとは。Web等の追跡で使う小さな画像と似た発想で、こっそり使う技術ではありません。また、IDを発行しているということは、Cookieと同じで、これまた今更断りなく使う技術ではありません。

IPアドレスの処置が本当にそうなのか我々が知ることはできませんし、こんな好き勝手な判断は許せません。データ放送画面を見ると、今回の実験に対応するのかわかりませんが、「利用調査について」があり、オプトアウトしました。取得情報に「視聴者情報の送信設定(送信する/送信しない)の状態」があるので、オプトアウトしたところでデータは送付され、処理時に排除されるように見えます。

気になって民放をデータ放送画面で確認すると、既に実施していました。日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビともIPアドレスやIDを取得しているのにも関わらず、一言も断りなく取得しています。当然、オプトアウトしました。視聴者に対して明確に選択肢を示せば良いものを、業界としての認識が甘いです。

さて、今回知りましたが、総務省では「視聴データの活用とプライバシー保護の両立を目指したルールの策定の検討」が行われていました。
放送分野の視聴データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会

資料と議事をざっと見た限りでは、非常に現実的な指摘と議論がされているように見えます。特に、1回目、2回目でかなり厳し目の質問を受けているのにも関わらず、3回目で業界から示された回答は理解願いたいとかなんとか逃れようとしている印象。そのような状態で、今回NHKが1回目で説明されたのと全く同じことを実施するのは理解不可能です。

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