Suica乗車履歴が売られる
発表時にはうかつにも気づきませんでしたが、先月末にこんな発表がありました。
日立の発表: 交通系ICカードのビッグデータ利活用による駅エリアマーケティング情報提供サービスを開始
ITmedia記事: 日立、Suicaビッグデータから駅利用状況を分析するサービス
日立の発表には、「東日本旅客鉄道株式会社(代表取締役社長 : 冨田 哲郎/以下、JR東日本)から個人情報を含まない交通系ICカード「Suica」の履歴情報の提供」と書かれており、明確には書かれていませんが、乗車履歴のみのようです。
そこで疑問がいくつか。
- Suicaの履歴を提供するとか聞いたことは無いし、していいと言った記憶も無い
- なぜ、(日立ではなく)情報の責任があるJR東日本が発表しないのか?
- 乗車履歴の分析だけで、どれほどおもしろいことがわかるんだ? 本当はその先の乗車履歴以外の購入履歴も分析したいんじゃないの?
僕はこんな形でSuicaの利用履歴が公開されることを認めた記憶はありません。実際に、Suicaに関する規約・特約には、利用履歴の目的外利用や外部開示の話はいっさい無し。
JR東日本の他のWebページには、個人情報の取扱いに関する基本方針、個人情報の取扱いの具体的な事項がありますが、Suicaの購入時に示されていないのだから意味がありません。
僕は何が何でも履歴の提供が駄目と言いたいわけではありません。適切に条件や開示方法等を示してほしいだけです。具体的にJR東日本に期待することはふたつ。ひとつめは、Suicaの規約で、外部への履歴の提供や提供条件を明記すること。ふたつめは、規約の変更前に開示してしまった、今回等の開示内容を明確に示すこと。
これらがあって初めて、ユーザーとの信頼関係が築けるのではないでしょうか。
3つめの疑問のおもしろい履歴について。年齢層・性別がどこの駅で乗り降りしたことがわかって、それほど役立つとは思えません。でも、Suicaの通常店舗での履歴と組み合わせると、役立つ感じがします。しかし、横浜から東京に通勤する40代後半の男性は毎朝コーヒーチェーンでコーヒーを飲む、のような情報を得ようとすると、名前のようなストレートに個人を特定する情報ではありませんが、少しの工夫で個人を特定しうる情報になります。このような情報を安易に外部に開示することは反対です。
JR東日本ご意見承りセンターなる電話があるので、直接聞いてみようと考えていますが、まだこれからです。
(7/25夜追記) JR東日本が利用内容や対応を発表しました。一ヶ月もかかってしまったことをのぞけば、なかなかの対応と思います。感想等は後日、別記事にて。