『好きなことを仕事にしよう』系のアドバイス
なんだか春うららのこの時期、twitter界隈では新卒社員・就活生向けにいろいろな助言が飛び交っていますが、その中で気になるフレーズが
好きなことを仕事にしよう
系のアドバイスです。
確かに好きなことで飯を食っている人は居るようだし、下手するとそうでない人よりもストレス無く、お金も多く稼いでいる人も居たりします。
しかし社会人になったばかりの20代の人に声を大にして言いたいのは『君たちは、まずはそんな生き方を目標にしてはダメだ。』ということです。
ちょっとここで誤解していただきたくないのは、『好きなことを仕事にしてはダメだ』ということではなく『世の中そんな甘くないゾ』という話でもなく、要は『学校を卒業して数年仕事をしたくらいでは、何が好きで何が好きじゃないのかの判断もできないでしょ?』ということです。
20代、経験の少ない状態の『好き』というのは『買う側』の立場での『好き』であることが多いです。でも『売る側』での『好き』的にはどうなのでしょうか。
映画が好き、旅行が好き、ディズニーランドが好きという人が、低予算とプロダクション押し売りのジャリタレという制限下で映画が撮れるのか、酔っぱらいのセクハラおっさん達を相手にバスツアーの引率ができるのか、目の前でポップコーンを投げ捨てて『早く掃除しろよ』と楽しむガキんちょを前に笑顔でいられるのか、というとそれはまったく別物だったりします。
同じことがITの職種にも言えます。研究開発が好き、実装が好き、デザインが好き、という人に本当に『売る側』としての姿勢や能力があるのか、それはほとんど分かりません。
だいたいにおいて『自分はこういう能力がある』という認識は間違っていることが多いです。
能力は他者との比較で優劣を測るものですが、他者のことがわかってない段階ではその認識は単なる希望的観測を抜けられません。
なので、結論としてはありきたりなのですが、まずは若いうちは先に職種を限定せず、とにかく何でも本気でやってみることですね。
その中でそれぞれの仕事について漠然と持っていた偏見が溶けていくこともあるし、みんな嫌がっているけど自分はそんなに苦痛でもないなぁ、ということもあります。
何年かの間で徐々に職種を絞っていくと、その仕事にかけてきた時間が増えてきてそれが得意になってきます。
得意になると人から頼りにされ、喜ばれて、ますます突き詰めたくなります。
そして、次第にその仕事が好きになってくるのです。
好きを仕事にするというのはそういう手順を経て達成されることです。
最初から好きなことを仕事にしようとしても、それは意外と最短経路ではないと思いますよ。
ちなみに、そのような醸成過程を経て、酔っぱらいだらけのバスツアーの引率を自然な笑顔でこなしている添乗員さんなんかは『好きを仕事にしている』典型であり、かつ市場価値もすこぶる高いのです。いや「好きか」と聞かれれば「好きではない」と言うかも知れませんが。
そういうものです。
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