サラリーマンにセルフプロモーションは現実的なのか?
▼世はセルフプロモーションの時代
世はセルフプロモーション、セルフブランディングの時代のようですね。社長はもちろんのことサラリーマンであってもtwitterやFacebookを使ってどんどん個人のキャラをアピールせよと、ライフハック系のブログなどで声高に叫ばれています。
セルフプロモーション自体は、本当によいことだと思います。実際私もこの誠ブログやtwitterで好き勝手な主張をし、それがもとでたくさんの方と知り合い、中にはビジネスで、いや人生で大きなインパクトのある出会いがありました。
このような出会いは、ビジネスマッチングサイトや飛び込みのメール営業などでは決して起こりえないことです。仮にあったとしても確率的に非常に低いものとなるでしょう。
セルフプロモーションを行った者同士で会うということは、「出会う」という段階ではすでに半分付き合っている状態です。
出会う前から、お互い人となりをアピールしておき、相手の考え方もよく知っておき、表面的なところではなく深いところで気が合いそうだからアプローチして会うという流れです。
趣味の世界ではこれまでだって普通にあることだと思いますが、ビジネスの世界は基本的に常に「うまいことを言って、騙されるんじゃないか」と疑心暗鬼なわけです。それがセルフプロモーションで人となりをアピールし、自らの取り巻く人間関係をさらけ出すことで、かなりの確率で信用置ける人間であることを判断してもらえるわけです。
これはやってみるとかなりの革命的出会い方ですね。
▼サラリーマンでもセルフプロモーションが可能か?
しかし、とは言っても私は社長ですので、こんなことがあまり躊躇(ためら)いもなくできますが、サラリーマンの場合は、どうなのでしょう。
「これからはセルフプロモーションの時代だよ!」と言われても、具体的な行動に移そうとすると、そもそも何を言うべきで何を言うべきでないのか、一歩目から躓(つまづ)いてしまうと思います。
これは、セルフプロモーションを行う目的をはっきり二つに分けて考える必要がありそうです。
1.セルフプロモーションを、現在勤めている会社のために行う
企業戦士ですね。
この場合、アピールする人格はその会社に最適化されたものである必要があります。もちろん、戦略的に個人の意外な趣味や、だらしない一面を出すことはあっても、シャレにならないこと、たとえば同業他社に転職したいと思っているとか、自分は個人的には自社の製品じゃないものを使っているとかは言えません。
これによって、会社の求めるターゲットに合った人脈の形成に、一定の効果があると思われます。私は、この手の戦略でうまくやっているサラリーマンを何人か知っています。弊社ではなくお客様でですが。
しかし、会社の営業的側面だけの目的でセルフプロモーションを行うというのも、昨今のソーシャルメディアの無限の可能性を鑑みれば、なんとも矮小化された使い方な気がします。
当然、自身の転職活動などでも使いたいところでして、転職してみようかなと思い立った時に、なんとなく希望の会社の社長などに、自分のソーシャルメディアのアカウントを晒すわけです。
そうすることで、前職での活動を簡単明瞭に、かつ信憑性を持って説明できるかも知れません。
「これは会社のためにおこなった活動で、キャラはかなり演じてます。ハハハ。」
という文句も好印象を持って捉えられるでしょう。
しかし、転職すると言うことは、少なくとも前の会社になんらかの不満を持ち飛び出した訳で、少なからずの人間的なトラブルを抱えている可能性が高いです。新しい就職先が決まった後も、その人間関係をいつまでも引き摺ることはかなり危険です。
こう考えると、一番合理的なのは、この目的でのセルフプロモーションならば、実名ではなく仮名を使って思う存分活動し、転職口が決まった段階でそのアカウントを棄てるべきなのでしょう。(Facebookは実名が建前ですから、インチキ使用となりますが)
さて果たして会社がこのような活動を許してくれるのでしょうか?
「ソーシャルメディアを使った営業?それはいいとして、何故仮名なんだ?おまえは辞めることを考えているのか?」
とならないでしょうか。会社のためを思ってやろうというのに、どうもちぐはぐな感じがします。
2.セルフプロモーションを、自分自身の人脈形成のために行う
巷のライフハック系ブログで推奨されている本来のセルフプロモーションは、むしろこちらなのでしょう。
この場合は、当然実名でよいですし、在職中の会社の方針に引き摺られる必要はありません。会社関係の知り合いから友達リクエストが来たりフォローされたりしても、基本的に無視するスタイルです。仕事とセルフプロモーションはきっちり分けます。
しかしそうは言っても、少なくとも次に転職活動をする際などには公開しないと、いつまで経ってもビジネス上のメリットが出ません。
なので、転職活動の際にはやはりアカウントをさらけ出すことになるのでしょう。それにより自分のことを特別に気に入ってくれて縁もゆかりもない土地の会社に呼ばれるかも知れません。このあたりが、セルフプロモーションの真骨頂といったところでしょうか?
が、結局その後は、「会社も見ているセルフプロモーション」となってしまい、会社のしがらみに引き摺られることになります。出来る人間であればあるほど、そのセルフプロモーションに使われるメディアは、人事や社長から目を光らせて見られ続けます。
こんな状態でも、「自分は自分」ということで、ブレずにセルフプロモーションを続けていくなどというのは、それが許されるようなキャラであり、代替の効かない高い能力があり、理解のある職場である必要があります。
私はこの「脳内ビジネス」というブログで、個人がセルフマネジメントを行って、ビジネスの中にコミットすべきと主張していまして、セルフプロモーションはまさにその方向性なのですが、これは1人のお客さんと話をしながら後ろにいるお客さんにもトークを聞かせ、双方に高い満足度をもたらすようなかなりの高等テクニックを要するように思えます。
下手にやると、前のお客さんからは「おい、どこ見て話してんだよ」と言われますし、後ろのお客さんからは「こっちとは全然関係ない話をしててつまらない」と思われそうです。
サラリーマンによるセルフプロモーション。現実的にはかなり難しいと思いますね。
みなさんはどう思われますでしょうか?
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