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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

日本のCIOは誰なんでしょう?

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朝日新聞に連載の「プロメテウスの罠」というコーナーで、今、原発事故当時のドキュメントをやっています。
朝食を食べながらザーッと読むだけなので、詳細には覚えてないのですが、当時の菅首相が東電に乗り込んだときの情報環境のお粗末さがなかなかすごくて、言葉が出ませんでした。

書かれている記事によると、東電に用意された部屋に政府首脳が入ったのですが、携帯電話は圏外、有線電話が2本、FAXは乗り込んだその日には準備出来ず、後日。LANについては記述すらありません。結局、その部屋にいる首脳はテレビを見て(テレビがつながったのがむしろ不思議)情報を得ていたそうです。

米国のテレビドラマで有名な「24 -TWENTY FOUR」では、何か緊急事態が起こると、主人公のジャック・バウアーが勤務するCTU(テロ対策ユニット)にありとあらゆる情報が集まり、その情報が現場の指揮官に届けられ、そこからの指令によって、全米の情報と人のネットワークが動かされます。
国家レベルの驚異となった場合には、もちろん大統領にも共有され、エアフォースワンやその他の場所のどこででもその情報を手に入れることが可能で、重要な判断を行います。

アメリカ政府が本当にそんなすごい情報管理をしているのかどうかは知りませんが、技術的にはあのドラマに出てくることを実現するのは、今ではおおかた可能です。むしろ、それくらい当たり前だろうと実は私は思ってました。

が、現実は上記のような状態なわけで、いったい日本政府はどこまでITを軽視しているだろうと正直情けなくなりました。
(実は政治家に届けない単なるいじめかもしれませんが、それはそれで問題ですね)

そんな状態に置かれれば、インターネットが自由に使える私たちのほうがよほど情報を手に入れることができますね。政府首脳の対応以前に、情報がなければ判断もへったくれもないわけで、誰が首相であっても対応することは無理でしょう。

こんな状態にした責任は誰にある?責任者出てこい!と思って考えてみたのですが、ITの責任者といえばCIO(最高情報責任者)。Wikipediaによれば、「経営戦略に沿った情報戦略やIT投資計画の策定などに責任を持つ」人のことです。もちろん国家の場合は、「国家戦略に沿った情報戦略やIT投資計画の策定などに責任を持つ」人ということになります。

で、思い浮かばなかった、というかそもそもそんな部署あるのか?と思い調べてみると、IT戦略本部っていうのがそれにあたるらしいです。で構成員を見てみると、実はこれは実組織ではなくて単なる会議体

構成員を見てみると責任者は首相で、関係省庁の大臣と有識者からなるようです。そして、いろんなタスクフォースや連絡会議をやっているようですが、その構成員では、専任者もいなければ誰も責任もつ人もいないわけですから、提言(参考意見)は出せても、戦略を立案実行するのは到底無理なことは誰でもわかります。つまり日本にはCIOはいない、ということのようです。

で、さすがにそれはまずいということで、官邸では提言が出ています。

これによると、ちゃんとした組織にして閣僚級の政府CIOを任命するということを、今年度に制度設計をして、来年度に法案提出、発足するとありますが、進行状況がどうなっているかはちょっと調べられませんでした。
あまり詳しくないので、突っ込んだコメントもできませんが、いろんな意味で驚きました、ということで・・。

普通の企業の情報戦略も情報システム部門の力が弱かったり、企画なしの運用だけの組織だったりして、それが戦略不在となって変なことになっている例は多くて、「CIOって必要ですよね」とよく言ってはいるんですが、まさか国がそうとは思いませんでした・・・。

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