オルタナティブ・ブログ > ニュータイプになろう! >

もしも洞察力があったなら……。

電動工具の会社「工機ホールディングス」で学んだこと

»

少し遅れましたが、この3月で日立系の会社だったHiKOKI(はいこーき)で知られる電動工具の大手「工機ホールディングス」を卒業いたしました。約3年の間で学んだことにいくつか触れていきたいと思います。

信頼関係こそ武器

1948年に創業し、2017年にKKRが投資をして日立グループから離れた同社。資本上は「外資系」でしたが、社内文化は純然たる日本企業。すでに海外進出はしておりましたのでグローバルの意識はもちろん高く持っていますが、コミュニケーションをするうえで必要なのは「信頼関係」、これにつきます。その信頼関係を築くには、当然仕事はできないといけません。それに加えて人間性を知り、受け入れる、というプロセスが加わります。それって何かというと、はい、飲み会です。時代の変化とともになかなか表現が難しいところですがあくまでも自由意思に基づくオフ会です。この一年間はこうした活動がしづらいですが、いつか落ち着いたらまたみんなと再会をしたいと思います。

IMG_9726.JPG

IMG_9727.JPG

IQとEQのバランスが人を動かす

上に書いたように、仕事はできなくてはいけませんが、いくら仕事ができて論理的に正しくても気に食わないことって世の中にたくさんありますよね。正論だけど失礼だから言うことを聞きたくない、、、というような。私が常々多方面で申し上げていることの一つに、「世の中は(学力)偏差値70以上の人でできているわけではない」というものです。私自身、多くの企業でお仕事をしていく過程でうまくいったことはたくさんある一方で、多くの失敗もしてきました。こうしたことをたくさん学び続けたことで分かったことの一つです。自分たちがいる世界がすべてだとはゆめゆめ思ってはならず、視点、視野、視座それぞれに多様性を持ち得るかどうかはコミュニケーションを成功させるうえでとても大事です。

IMG_9728.JPG

とにかく現物、現場、現実!

マクドナルドにいた時にも「現場が大事」としていましたが、工具の会社の現場とはまさに建設建築工事現場のことです。ここで職人さん、作業員さんがどんな作業をし、どんな時間を過ごし、どんな困りごとがあるのかをつぶさに観察、時にはお話を伺うなど徹底して現場を知ることに努めてまいりました。現場を知らずに方向を決めたりすると間違った方向に進んでしまうからですね。それと、製造業はとにかく現物。現物を見たことも触ったこともないでいると、職人さんの言っていることが理解できなくなります。私自身インパクトドライバは真っ先に所有しましたし、

IMG_9723.JPG

個人で買わないまでも、丸ノコ(切断)、グラインダ(研磨)、セーバーソー(解体)、ハンマやハンマドリル(コンクリート穿孔や斫り)、を使って様々な試用で体験をしてまいりました。そうすると、もう少し軽いほうがいいなとか、長持ちするといいなとか、グリップが太いほうがいいなとか、いろんな意見が出てくるんですね。もちろんプロ職人のものの見方には追い付かないかもしれませんが、少なくとも理解をすることができます。こうした現物を体験しているかどうかでコミュニケーションやマーケティングの意思決定の確信度を上げることができるのだと思います。

お客さんは、エアコンもない厳しい環境で仕事をし、この世の中を創っている

電動工具メーカーとしてのお客さんは木工(住宅)、金工(鉄工所)、建工(ビル・マンション)、電管材(電気水道ガス)など主にプロ職人さんでした。彼らの現場作業は外だったり、屋内だとしてもエアコンなど聞いてない環境で作業することが多いです。要は過酷なんですね。その人たちが街を造っている。私たちの生活はこうした職人さんのおかげで成り立っているといっても過言ではありません。そのお客さんのお仕事を少しでもラクにしてあげることこそ、工機ホールディングスの使命でした。(過去形で書きましたが、いまでもそうです)だからこそ、厳しい納期スケジュールの中で効率よくそしてできるだけ疲れないように仕事ができるように、商品開発の工夫をしています。「思い通りの仕事」をしていただくために小型軽量化、電池長持ち、パワー、精度、耐久性に最新の知見を取り入れ「極上のユーザー体験」を提供していたんですね。

グローバルチームという宝

IMG_9725.JPG

日本に本社グローバル機能を持ちながら世界の仲間とつながる仕事は私にとってとても重要な経験となりました。本社でディレクションを示し、各国のオペレーションに反映してもらう。もちろん一方通行ではなく、相互に合意を取りながら最大の効果が出るように調整をしていきます。2018年から2019年にかけては月に1度以上海外の仲間に会いに行ってきました。アトランタ、バンコク、デュッセルドルフ、バンガロール、北京、上海、広州、杭州、蘇州、シドニー、パリ、ユトレヒト、シュツットガルドなどなど。とにかくあちこちを駆け回って仲間と議論をし、時には販売店に出向き交渉し、中国ではデジタル直営店を開設、パリ、北京、上海、広州、バンガロールではマスコミと販売店向けの発表会を行い、英語やちょっとだけ中国語を丸暗記してプレゼンをするなど様々なことに携わってまいりました。多くはうまくいきましたが、サッカーチームのスポンサーシップの取りまとめについては議論が白熱して落としどころに苦慮するなど機会点もありました。しかし、とにかく物事を大きく、Globalで考え、常に仲間から学び、戦略的に動くことの重要性を全身全霊で得ることができたのは本当に財産ですし、会社と仲間には感謝をしています。

そんなこんなで私は3月末付で工機ホールディングスを離れたわけですが、一緒に汗水たらした仲間のことは一生忘れませんし、コロナ禍が落ち着いてそれが許される時が来たらまたみんなでワイワイ行きたいと思っています。

*以下はKumamine氏に描いていただいたオリジナルHiKOKI仕事猫です。

HiKOKIShigotoneko2020.jpg

Comment(0)