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もしも洞察力があったなら……。

常識を働かせろ、とは何のこと?(日本生まれ組織での奮闘記)

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2018年の2月頃、マクドナルドを退職して人生の洗濯をしていたころ、ふと思い立って友人を訪ねて京都に出向きました。その京都は上賀茂神社にお参りをした後、さてこれからどうしようかと考えていた矢先に工機ホールディングス(旧日立工機)が人を探しているというご連絡をいただきました。嬉しいことにとんとん拍子に話が進み、晴れて同年5月からマーケティングとコミュニケーションのチームを組織することに。その時の最も大きなお仕事は、日立から離れた工機ホールディングスがこれまでプロ向け工具に冠していた「HITACHI」を「HiKOKI」(はいこーき)へと名前を変えていくことでした。このシリーズでは五月雨式に「そのとき何が起きたのか」を守秘義務を順守しながら少しずつ皆さんにお伝えできればと思います。

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2018年5月、ワクワクドキドキの入社初日。私のことを諸々サポートしてくれた先輩社員(男)からこんなことを言われました。

「玉川さん、うちの会社はすごいんですよ。なんと、ネクタイをしなくていいんです。」

一瞬何のことを言っているのかよくわかりませんでした。しかし、すぐに服装の柔軟性について話されていることが分かりました。「なるほどー(いやそれは古いだろ)」とにこやかに応対しました。

なにせ1948年創業の70周年を迎えようとしている製造業。歴史も重みもあります。一方で日立さんから解き放たれたがゆえに、自主独創の道を歩むべく様々な改革をしなければならないことはわかっていました。そんな中まず、手っ取り早い簡単な変化(英語ではLow hanging fruit:取りやすい位置に成っているいる果実とも言います)を創ろうと思い立ちました。時は6月。梅雨入りしたてのじめじめした季節です。これから夏を迎えるにあたって必要もないのにスーツのままでは不快指数は上がるばかり。であれば、快適に過ごすことができるよう選択できればよいのかなと。ついでにコーポレートカラーのさらなる浸透を狙って、緑色の服ならポロシャツでもよい。節度は守ってね、という趣旨で「カジュアル・グリーンデイズ」というものを企画しました。ありがたいことに意思決定のスピードは速く、提案から数日で承認をいただき、さっさと導入をすることができました。

さて迎えた夏。もちろん職責やお客様との都合でなかなかカジュアルに踏み出せない方も多くいましたが、真夏のスーツが本当に不快だと思っていた3割~4割くらいの人たちが賛同して少しずつ服装が変化をしていきました。一部の方からは面と向かって「本当にこの企画はありがたい。感謝してる」と言われたのです。嬉しいですね。

3か月ほど試したのちに社員の皆さんにアンケートを取りました。その内容の一部にハッとする結果が入っていたんですね。

それは、

実に60%以上の人たちがこの取り組みに対する満足度で「良かった」と答えてくれていたのです。嬉しいですね。

その一方、、、、

60%強の人たちがカジュアルな緑の服を身に着けなかった

50%強の人たちが通勤時や執務時に快適だったかどうかが分からなかった

70%近くの人たちが、これが良かったかどうかなど、周囲の反応はまったくわからない

55%強の人たちが、次年度以降の実施については、どちらでもよい。

と回答があったのです。

とても雑な言い方をすれば、過半数の方が「自分では参加していないけどやるのは構わない」ということでした。きっと仕事上そうしたことができない立場や、部門の雰囲気などたくさんの事情があったことでしょう。私としてはこんな急で無茶な企画の話を聞いてくれただけでもとても感謝をしていました(マジ)。で、次年度以降の実施に過半数がどちらでもよいと答えてくれたので、昨年も懲りずにやりました。私の尊敬する人が言っていた「夜鳥の鳴き声は少しなら忘れて眠りにつくことができるが、たくさん集まって一斉に鳴き始めるともはや無視できなくなる」という言葉を信じて。

この評価の分かれたカジュアルな装いVer.夏を再び実践した結果、その時の流れでついでにドレスコードを書き換えて(工場の現場など安全に配慮をしなければならない職責のメンバーを除き)オフィスワークは原則服装自由にしてしまいました。自由というのは、自由なのであって。無理やりカジュアルにすることでもなく、本人が働きやすい格好を選択していけばよいというものです。水泳のように「自由型だけど全員クロール」みたいなものではありません。スーツが良ければスーツ、作業衣が良ければ作業衣、ポロシャツジーンズが良ければポロシャツジーンズ。ということです。すっかりカジュアル慣れしてしまった人たちの中には相応に着崩して通勤する人も出始めましたよ。私を含めて。一応、公序良俗に反したり肌を見せたり、ボディペインティングなどは禁じています。仲間に不快感を与えあって仕事がしづらくなってはいけませんからね。節度のある服装を、ということで。ここはひとつ「常識を働かせてもらう」*ということになるのかもしれません。

今の社会環境では在宅勤務で割と自由な格好をしているのは当たり前ですし、こんなことは本当に小さい変化なのかもしれませんが、事業の成長を狙っていく中で、変化を受け入れる土壌づくりの一翼を担うことができたかもしれません。

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今日はこのくらいにしておきます。

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↑皆で緑の服を着ているところ(顔などはぼかしています)

*電動工具等は誤った使い方をするととても危険です。すべての使用禁止を取扱説明書に連ねることは不可能と考え、この一文が盛り込まれています。

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