究極か、始点か。
1996年に日本オラクルに入社後、昔の資料をあさっていると出てきたのがOracle7が日本に初披露された時のヘッドライン、「究極か、始点か。」はまだ当時20代だった私の心を大いに揺さぶりました。まったく意味が分からなかったからです。この言葉を考えたと豪語する張本人、佐野力さんは私に向かって「どうだ玉川。究極か始点かだよ。わかるか。がはは」いえわかりませんとは言えなかったので斜めに首を振っていたのが昨日のことのようです。
将来の普及ITデバイスはパソコンが究極に進化した先にあるのか、それとも携帯電話を始点として進化していくものなのか。そんな議論を昔よくしていたことを思い出します。ASCII配列のキーボードに支配されている私のような者にはパソコンが進化した先のデバイスに相変わらず魅了されて人生を終えてしまいそうですが、今十代の若者が大人になるころにはどんなビジネスツールが主流となっているのでしょうか。顔認識(iPhoneX)や音声認識(SiriやSmartSpeaker)、AI(Watson)やIoTアプリなどの様々な技術の熟成によって、情報を入力する方法は様変わりしましたね。もっと身近に、もっと手軽に人間の思考や仕事を拡張してくれるツールがあればぜひ活用してみたいというものです。ロボットでいうと、自分の力を増幅させてくれるパワードスーツ。一方、頭脳や仕事のパフォーマンスを増幅させてくれるのが新時代のデバイスだとすると、短い時間で素早く判断し、アクションを起こしていくために私たちが必要としているのはもっと深く、賢く考えることができるようになる。素早く教育を受け、スキルを上げることができる。そんなデバイスなのかもしれません。
実は最近こんな記事を読みまして、いろいろ考えさせられました。デジタルデバイドというと言葉が古いですが、ツールを上手に使えるかどうかだけでもビジネスのスキルに差がうまれることに何べんも遭遇しました。フェルミ推定なんていう方法がありますが、思考訓練にこれを用いるのはともかく、少すぎる情報から経験と勘と度胸で事業の意思決定をしていかなければならないとしたら、変化と不確実性の高い時代を生き抜くのは本当に難しくなってきます。やはりここはかつてのBIばりに過去のデータ、現在の状況そして未来のシナリオを瞬時に割り出してくれるビジネス支援システムを身に着けて行動するようになるのかもしれません。技術的には可能だとして、あとはいつだれがどのように投資して作って普及させていくかという議論なのだと思いました。
個人的には正直毎日パソコンを持ち歩いていると肩や腰に来る年になりましたので、そろそろ身軽にいきたいな、とも。