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もしも洞察力があったなら……。

【広報かるた】・【が】ガクブルだ。初めての司会、笑わぬ記者団前にして。

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広報担当者なら誰でも経験を積んでいく過程で記者会見の司会を担当することがあるでしょう。たまに広報部長さんがその司会をするのが好きで*若手にはなかなか任せてくれない会社もあるかもしれませんが、それでも、いつかはどこかでやることになるのが、この司会です。

*好きだから、とは限りません。様々なご事情があると思います。念のため。

明るく元気に仕事をこなしてきた広報諸兄は、これまでになにか、どこかで司会という役割に携わった経験があるかもしれません。結婚式での司会、セミナーでの司会、カラオケパーティでの司会などなど。そして、司会というのはこうした経験があればどこか心の中で「司会なんて、ちょろいちょろい。」と思ってきた方はいるでしょう。

しかーし

広報の現実は必ずしもそうではありません。未経験の方をおどかすつもりはありませんが、記者会見の司会は、過去に経験したパーティなどでの司会とはまるで異なります。何が違うのか、要点をシンプルにまとめてみましょう。

会見に来る記者の皆さんは・・・

1)笑顔がない
2)視線が熱い
3)質問が怖い

のが大きな違いです。

解説します。

1)笑顔がない
記者は、遊びに来ているのではありません。エンタテインメントや笑いやオチを求めてもいません。発表の主旨、新奇事項、記事になりやすい言質など、報道するための情報を求めています。余談ですが、笑顔がないからといって、怒っているわけではありません。

2)視線が熱い
記者は会見場に到着して、ただぼんやり待っているわけではありません。自分の記事を書き、報道をするための算段を立てています。会見が始まると、発表者の言葉を一語一句聞き入り、表情を読み取り、場合によっては本気度合いを探り、質問し、他紙の質疑応答に注目し、そこで得られるコンテント(物事の事実)とコンテクスト(文脈)を一切漏らさず得ようとするわけです。なので、必然的に登壇者への視線が熱くなります。もちろんこれは場を仕切る司会に向けられることもあります。

3)質問が怖い

記者の方は、報道を目的にしていますから、あまり丁寧に質問することに注意を払ってくれません。また、俗に言う「突っ込みどころ」について質問してくるのが日常です。報道を目的に、記事を書き、文字を埋めて行くのが彼らの仕事の一つだとすれば、埋めたいけど埋まらないピースを埋めるために質問をしていきます。場合によっては、予め想定していた切り口に従って質問をしていきます。大抵時間は限られていますから、丁寧ではなく、痛いところを突く質問が多くなります。つまり、怖い質問が多くなります。そして、この質問の捌きを司会が怠ると、まぁ、ほとんどの場合、叱られます。


こうした雰囲気に包まれた会見場。過去の司会経験とは勝手が違うなぁ、と飲まれてしまった初登板する司会者の膝は、震えます。ふるえなくても、否応なく緊張します。もし、まったく緊張しなかったとしたら、ちょっとナメてますね。少しは緊張するのが記者への礼儀だと覚えておきましょう。勝手なこと言いますが、おじさんはそう思います。

しかし、心配はいりません。この緊張は、その場に必要な安定剤だと思ってください。会見は、会社が、社長をはじめとするスポークスパーソンが、一所懸命になって世の中へ橋をかけて渡って行く場なのです。皆が真面目に、懸命に参加し、対応します。ですから、司会も真面目に、しっかりと役割を果たせばいいのです。

そして、重要なことは、2回目、3回目とか場数をこなしていくうちに慣れてきます。少なくとも膝は震えなくなります。そのうちに、上手になります。上手になると、たまにですが褒められますので、自信がつくようになります。

そうしたら、こっちのものですね。

司会は、英文字表記でM.C.(エムシー)と言われます。ご存知だと思いますが、これは「Master of Ceremony」の略です。つまり「その儀式の支配者」なのです。M.C.はその場の流れを支配する権限を持っています。それを意識して準備し、練習し、臨まれることをお勧めします。

Happy M.C!

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