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もしも洞察力があったなら……。

就活中・内定期間のために身につけたい、“ソーシャルメディア・リテラシー“の基本 【オラクル編】

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先々号の宣伝会議に寄せた文章です。本誌掲載時には文章が(上手に)直っているので、そっくりそのままではありませんが、大意は同じ、ということで、せっかくの内容でもありますし、私自身の備忘録という意味も兼ねて、こちらにも掲載をいたします。

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はじめに
ソーシャルメディアへ積極的に参加する人々のなかには、それらを上手に使いこなして自身の価値を高めている人と、そうではない人がいる。その違いとは何か。BtoBのIT企業広報の視点から述べてみたい。

憲法の定める言論の自由は、とても乱暴な言い方をすれば、いつどこでどのように誰に情報発信をしても良いと解釈できる。しかし大切なのは、情報発信やコミュニケーションの価値は、常に「受け手が決める」ということだ。言論は自由だが、発した情報が相手に好意的に受け止められることを保証するものではないのだ。


ソーシャルメディアとの付き合い方

ソーシャルメディアは、社会に参加するための媒体そのもの。社会に参加するのだから、公序良俗に則ったコミュニケーションが基本となる。

また、社会人は目的があってコミュニケーションする。つまり、社会人は目的のないコミュニケーションはしないものだ、と考えよう。ソーシャルメディアを活用して、なるべく周囲の人に良い印象を持ってもらいたいならば、どのようにふるまうべきかを知ろう。もしあなたが就職活動中、または内定を経て就職準備をしているなら、気になる企業のガイドラインをチェックしてみよう。一部の企業ではWebサイトで公開もしている。

日本オラクルのソーシャルメディアガイドラインは極めてシンプルで明快だ。

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1)倫理規定を遵守すること
社会一般通念上の倫理のほかに、世間と継続的な信頼関係を築くために、社会人としての倫理に反しないかどうかを問うものである。また、法令を順守するようにも定めてある。

2)機密情報の開示をしない
社員向けに限定的に共有された情報を、上司や広報・法務などしかるべき部門の承認を経ずに公開してはいけないと定めている。未発表製品や顧客情報などはこれに該当する。

3)好ましくない、または挑発的なコメントをしない
当然だが、感情的になって誰かと喧嘩などしてはいけない、というものである。炎上を自ら仕掛けるような行為は許されないということでもある。

4)会社を代表した発言をしない
会社を代表したかのように振る舞い、個人が法人を代表してコメントをしてはならないというもの。実はこれを混同してしまう人が多いので要注意。個人の意見と、機関決定・承認された法人の公式情報は整理するべきである。

5)匿名書き込みをしない
実名で書きこめば、個々は発言に配慮をするだろうし、また、真剣に情報発信やコミュニケーションの目的を都度考えてくれるはずだ。また、実名で対話することによって、人々との絆が深まることを期待してのことでもある。

6)著作権の尊重をする
法令を順守し、他者の権利を尊重しようということだが、ソーシャルメディアでは簡単に情報の共有が可能なことから、無意識に他者の著作権を侵害してしまうことがある。その注意喚起をしている。

もし情報発信時に迷ったらこれらに当てはめて検討してみるといいだろう。

価値観の違いを意識する
さて、冒頭に「コミュニケーションは受け手が決める」と書いたが、社会通念上、相手がどのような印象を持つか、というのを意識することは重要である。もしも貴方の仕事が広報関係ならば、必須の能力と言っていいだろう。
たとえば、仲間とワイワイやっている写真をソーシャルメディア上に載せたとしよう。その写真にはあなたが傍若無人にふるまう姿が写りこんでいる。それをたまたま企業人が見たときにどう思うかはよく考えた方がいいだろう。

つまり、価値観が異なる人とコミュニケーションをするのがソーシャルメディア。あなたがいいと思っていても、他の人はそう思わないかもしれないのだ。

Facebookを例に言えば、個々の発言を投稿写真が時系列で見ることのできる「タイムライン」(2012年4月より)の表示はときどき確認しておいた方がいい。自覚をもって、公の場ではしないであろう発言や写真の投稿はするべきではない。

提供する情報や発言自体が各個人の信念や信条に基づいている場合はこの限りではないが、関係する友人や、家族への配慮は必要だ。たとえば自分が格好良く撮られた写真の横で友人が変な姿で写りこんでいた場合には投稿を控えるべきだ。

ソーシャルメディアへの健全な参加は望ましいと考える。しかし、やらなければよかったと後悔の可能性がある行為は謹んだ方がいい。一方、親しい仲間だけで非公開のグループを作れば、等しい価値観のコミュニティの中で自由闊達に情報交換ができる。目的に応じて使い分けるといいだろう。

一貫性は信用を高める
最後に、一貫性はその人の印象を強くするということを覚えておこう。例えば、あなたの信条が「世の中のためになりたい」だとしよう。ソーシャルメディア上で、ボランティア活動やアルバイトの話、両親に買ったプレゼントを話題にするのはいいだろう。活動と発信する情報と信条が繋がっている限り、あなた自身のメッセージは強力になる。ソーシャルメディアを通じた自らの情報発信に一貫性を保ち、矛盾を起こさないことでさらに信用は高まるはずだ。

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