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もしも洞察力があったなら……。

国際会計基準完全ガイド

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国際会計基準ってなんだろうか。このトピックについて他者と情報交換をするためにはある程度の知識が必要です。また、ITに携わり、ERPを世間に広めている立場としては、企業が直面する会計基準のイシューについて把握をしておく必要があります。

日経BP社から刊行された「IFRS完全ガイド」では、こうした基本的なニーズに応え、課題を浮き彫りにし、会社が取り組むべき事柄についてかなりわかりやすく解説をしています。そのわかりやすさの一例は、「そもそも会計基準とは」を説明する次の一節から見ることができます。

そもそも会計とは何のために生まれたのだろうか。起源は16世紀の英国にさかのぼる。中世の英国貴族が、自らが所有する荘園を執事に任せて経営を行わせ、その結果を会計を用いて報告させたのが始まりという。執事は、会計によって経営を委託された小宴の財政状態・経営成績に関する情報を雇い主である貴族に報告した。会計(Accounting)を用いて、経営の内容を説明することにより、説明責任(Accountability)を果たしたのである。(さらに)わかりやすく言うと、貴族が株主、執事が経営者の立場に変わったものが、現代の会社の姿といえよう。
(熊本浩明氏・PwCアドバイザリー、IFRS完全ガイド44ページより)

という具合。

起源を知ることで、全体を俯瞰しやすくなります。続く原則(プリンシパル)主義、細則(ルール)主義の説明も明快。国際会計基準は、基準全体を包み込む原則でのみ規定し、実質的にどうであるかを問います。日本基準の場合は細則が定められ、その範疇か否かで判断をしていくことになります。例えば、会計項目のひとつ、リース判定をどのように行うかを見てみましょう。IFRSの要求では、

・実質的に資産所有にかかわるリスクと便益が移転した場合は、ファイナンス・リースとして計上

一方、日本基準の場合は、

・リース期間が、経済的耐用年数の75%以上、またはリース料が現在価値の90%以上なら、ファイナンス・リースとして資産計上


両者の違いは、「実質的」か「形式的」かです。実質的とは、外側はともかく中身があるもの。形式的とは、中身はともかく外側があるもの、と理解してみました。日本企業だけで実践するなら形式だけでよさそうですが、多国、多言語、多習慣の中で見た場合、例えば「中身はどうなってるの?」と見てみなければ、判断がつきそうにありません。

すべてが同じにならない、多様なグローバル・オペレーションと原則主義。密接な関係があるのだと理解を新たにしました。


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