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もしも洞察力があったなら……。

製造業は「迅速」がキーワード:PLMを実装し、原価の低減で利益の創出に貢献する

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PLM(Product Lifecycle Management)、というと、製造プロフェッショナル向けの難しい言葉のような気がします。事実そうなのでしょう。しかし、私にも理解できたことが幾許かありますので、今回は(も)謙虚に、PLMとは何ぞや、ということを追いかけてみたいと思います。

さて、製造を生業とする企業とはどんな会社でしょうか。世界最大の百科事典Wikipediaでは、「原材料などを加工することによって製品を生産・提供する産業で、鉱業・建設業とともに第二次産業を構成する一大分野である。」としています。つまり、「モノを作って売る会社」ですよね。

モノを作るためには、大雑把にですが、企画、開発、設計、製造、生産、出荷というプロセスが確立されています。なんとなくそうだな、と理解をしてきたつもりですが、もう少しわかりやすく、ミクロですが具体的に紐解いてみます。個人がモノづくりを着想して実行するまでを例にしてみます。

とある、週末音楽愛好家の例です。

1)最近は音楽の制作するコストが格段に下がっているらしい。極端には、過程家庭でもかなり高品質な録音と編集がパソコンでできる。ならば、得意な作曲でオリジナル曲を録音して、地元で販売してみるか。(企画)

2)本格的に録音するためには原曲を書いて、アレンジをする必要がある。そうだ、作詞もしなければ。作ったメロディにコードをつけて、と。(開発)

3)きちんと曲に仕上げるためには、あらかじめ決めた構成にしたがって楽譜にしよう。そうすれば、苦手な楽器の演奏を仲間に頼めるから。(設計)

4)録音、編集、そして、トラックダウン、マスタリング・・・そうだ、ジャケットのデザインと制作も・・・黙々・・・そして印刷。(製造)

5)音源も、ジャケットもデザインができた。CDの初期ロットは100枚。中々のできばえです。(生産)

6)いよいよ、地元のお店に置かせてもらって販売開始です。どのくらい売れるかな。もし利益が出たら、新しいギターを買って、もっといい曲を作ろうっと(出荷)

傍白・・・少々マニアックな例だったかもしれません。バンドブームやDTM 世代向けということでご容赦ください。

さて、大事なのはここから。昨今の製造業において、この大雑把なプロセスそのものは(私の拙い知識では)大同小異、ほとんど違いがありません。いきなり製造には取り掛かれませんし、開発プロセスを飛ばして生産に移行することも難しいでしょう。

経営の視点では、生産された製品が売れればお金になります。そして、売れた金額から、原価を引けばそれが利益になります。つまり、作った商品を売れば売るほど、現金が増えるわけです。乱暴に言えば「製品=現金」、ということになります。もし、在庫を極小化して、製品をたくさん、すばやく売ることができたら、きっとその会社は大もうけをすることでしょう。

つまり、製品(現金)を製造プロセスの中で早くまわせばまわすほど、総じて得られる利益が大きくなるのです。新製品の規格、開発、設計・・・これらのプロセスにスピードが求められるのは、経営の視点からは必然なのです。会社は利潤を追求したいのですから。

ところで、個々のプロセスのスピードアップも大事ですが、たとえば、製造業者が、ある製品を市場に戦略投入する意思決定をした場合、一連の業務プロセスを変化させなければならないとしましょう。その場合に、変えなければならないプロセスはわかっていても、もし、普段使っているコンピュータシステムがその変化に素早くついていくことができなかったとしたら、どうなるでしょうか。きっと、企画、開発、設計、製造、生産、出荷プロセスに遅延をもたらし、結果として製品(現金)を早く回せなくなってしまいます。つまり、機会損失、となります。

成長を続ける製造業者は、機会損失を極小化し、利益を最大化することに心血を注いでいます。もし、業務とコンピュータシステムが二人三脚で経営と結びついていなければ、その会社の未来は厳しいものになるかもしれません。

つまり、PLMの実装は、製造業者の利益を最大化し、競争に打ち勝つためのソリューションのひとつ、ということなのです。

さて、今回は、製造業を知るために、少し勉強をしてみました。その視点は三つ です。

1)製造の現場を知る Sany0002


知人が経営する埼玉県川越市のプラスチック製造工場に出向き、話を聞いてきま した。ここでは、外国勢を凌駕する品質が評判とあって、自動車某社や通信某社 の関連部品の製造を受託しています。24時間フル稼働、少数精鋭のスタッフィングで製造原価を極小化する努力を日々行っているそうです。 日本の製造業、がんばってます。

2)管理会計の勉強をしてみる

決してたいそうなものではありませんが、今はやりのシントピカル・リーディングでしょうか、はたまたレバレッジ・リーディングでしょうか。興味を持った関連の本を立て続けに読んで、視点の確立を試みています。 (継続中)

3)オラクル・アジャイル(PLMソフト)に触れる

先週、オラクルが提供する、PLM実装のためのアプリケーション「Oracle Agile」の発表会がありました。Agileとは、「迅速」の意。PLMでは迅速な変化 対応と、プロセスそのものの迅速化が経営に大きなインパクトを与えることか ら、「Agile」と名づけられています。名が体を表していますね。

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PHOTO (C) Atmark IT

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