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<改善点発見→良くしよう→プロセス増→コスト増> のジレンマ

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先日、プチホテル(家族経営の小規模なホテル)のオーナーと話す機会があった。

オーナーとしてホテルを良くすること、より多くのお客様に来ていただけるように、来ていただいたお客様に満足いただけるようにと、日々カイゼンをされているとのこと。

そして、家族経営なので、オーナーであるとともに、ホテルの運営の全てを自らの手で行っている。広告宣伝、予約管理、仕入れ、接客、清掃などなど。

彼は、脱サラをして中古の物件を購入しプチホテルを開業した方でした。元々は大手航空会社のオペレーション関連に携わっていたとのこと。航空会社のオペレーションですから、想像ですが、全ての仕事が厳格なプロセスとなっていて、それに従って業務遂行されていたことと思います。

そんな彼との雑談の中で、彼の悩みを知りました。

それは、改善点発見し、よし、それを良くしようと思い実行する。そうすると、結果的には自らの毎日のルーティンワークが増える(プロセスが増える)、それはホテル運営を担う彼と彼の家族の時間を使うこととなる。自分でやっているうちは目を瞑れるが自分達で回らなくなると人を雇わなければならなくなり、コスト増に直結する。

これは、単に丁寧に掃除するとか、接客に時間を欠けるということだけでなく、ロビーの装飾を増やすといったことでも、その装飾の清掃というプロセスが増えるので、「塵積」でどんどん時間を圧迫していくのだそうだ。

当たり前といえば当たり前なのですが、自らオーナー兼作業者として実体験している方の具体的なお話を伺い、ハッとしました。 私たちのような会社勤め人はこういう感覚をみんな持っているのだろうか、と。

アジャイルコーチをお願いしている吉羽さんに当初良く言われたこと。

それは、「ニッポンの製造業は、どうして工場で当たり前にできていることが、オフィスではできないのですか?」

それと重なる部分が多いなと思います。

あらゆる仕事においても、「良くしよう」とする際には、それによって「どれだけのプロセスが増えるのか?」、それは自分だけでなく関わる全ての人たちにとってのプロセスとして検討し、それが「結果としてどれだけのコスト増となるのか?」、「それだけのコストをかける意味があるのか?」(単純なコスパ計算でなく、定性的だったとしても)を十分に検討すべきだなと。

そんな気づきを、プチホテルのオーナーから教えていただきました。

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