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プラットフォーマーになりたい病への処方箋:フィールドオブドリームス

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「新規事業」「イノベーション」の文脈で頻繁に耳にする「プラットフォーマーになる」という言葉。

その言葉を発したり、聞いたりする際に思い出していただきたいのは、映画「フィールドオブドリームス」

フィールド・オブ・ドリームス(Field of Dreams)は、1989年に公開されたケビンコスナー主演の映画。

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米国アイオワ州の片田舎でトウモロコシ農場を営むケビンコスナーは、ある日の夕方、謎の声を聞いた。「畑に野球場を作れば、彼が帰ってくる」。

かつかつの経営状態ながら、周囲の反対を押し切って、取り憑かれたようにトウモロコシ畑の大部分を潰して野球場を作る。当然のことながら、収穫量は激減し、経済的な危機に陥る。

この農場は父親から継いだものだった。父親は、かつてメジャーリーグを目指したが、力及ばずこの農場で生涯を終えた。父は野球への夢を息子であるケビンコスナーのに託したが、反発したレイは十代で家を飛び出し、父の葬式まで農場に帰らなかった。父に妻や孫娘の顔も見せなかったことは、レイの心の傷になっていた。

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映画では、トウモロコシ畑を潰して野球場を作ったことで、彼の父親や歴代のメジャーリーガーたちが野球場にやってきた。そしてその試合を観ようとする多くの観客もやってきた、というハッピーエンドである。

企画書などでそれを書いている担当の方は、悪気があるわけでもないし、考え抜いて本気でそれを書いていることでしょう。「プラットフォームを作れば、彼らは来る」と。

しかし、「その企画で本当にプラットフォーマーになれるのか?」を考えるべきだと思います。

企画書を受け取る/説明を受ける経営層の方々にとっては「非常に耳障りの良い」提案に見える。けれども、これは事業企画の提案であり、お客さまがつかなければただの「妄想」。

「プラットフォーマー」になれるか否かは「お客さま」次第。お客様がメリットを感じるか否かは企画の良し悪しだけでなく、そこに「他の人を引き寄せるようなメジャーリーガー」が集まってくるのか? そして、彼らがいることで多くの人たちを継続的に引き寄せることができるのか?

「プラットフォーマーになる」という企画を検討する際には、是非、「フィールドオブドリームス症候群」となっていないかを自問自答していただきたいと思う今日この頃です。

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