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MVPと満艦飾:ニッポンは満艦飾アプローチからMVPアプローチへの転換を!

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伝統的なニッポンのメーカーの多くの人々は、必要そうな機能を全て網羅した満艦飾・Christmas tree packet を最初に考え、そこから取捨選択していくアプローチで物事を考える。

インターネットを活用したサービスビジネスを実践している多くの人々は、顧客が必要とする最低限の機能である MVP(Minimum Viable Product)を考え、そこから本当に顧客が必要なものを追加していくアプローチで考える。

この違いを大雑把に整理すると、


満艦飾は、自社技術の観点からのInside-out
MVPは、顧客価値の観点からのOutside-in

と言えるだろう。

この2つのアプローチには大きな隔たりがあり、その考えたかたの違いを埋めないままでは、様々なことに支障が生じることをあらためて実感している。

VUCAの時代、顧客が求めることが急速に変化する時代、高速なイテレーション(高速PDCA)での競争が行われている時代、ゆえに顧客が求めていることを確定し予め仕様が確定できない、そのような現在において顧客価値の観点からの Outside-in が重要であることを否定する人はいないだろう。しかし、現場では未だに大きな隔たりを感じているというのが実態である。

こんな悩みが生じているのは、ソフトウェア開発へのアジャイルの適用から、ビジネス開発のアジャイル適用、さらにはアジャイル経営への挑戦のフェーズに本格的に移ってきた(進化してきた)からなのだとポジティブに受け止め、取り組んでいきたい。

それにしてもちょっと意外だったのは、メーカー出身者ではないいわゆるネット企業(死語?)からのキャリア採用組でかつサービス開発(ことづくり)を担当している人のなかにも、満艦飾アプローチをする人がいたこと。 これは、「郷に入っては郷に従え」と仕方なくやっているのだろうか、またはサービスビジネスの世界でも満艦飾アプローチをするケースもあったのだろうか。

いずれにしても、満艦飾とMVPのアプローチの大きな差を埋めなければ、多産多死型、Fail First型の顧客価値にフォーカスしたサービスビジネス開発はうまくいかないように感じている。

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