OpenStackの選定基準 ~アプリケーション分類からのアプローチ~
昨日のエントリーで OpenStack Summit Tokyo (2015年10月27日~30日)について紹介した。 今日は、どんなシステムがOpenStackに向いているのか、を俯瞰的に考えてみたい。
誤解をおそれずに一言で OpenStack を説明するならば 「AWSライクなものを構築するためのオープンソースによるソフトウェア群」 と言えるだろう。 AWS 完全互換ではないものの、AWS のような機能、AWS のような使い勝手のクラウド基盤(それが事業用であろうと社内プライベート用であろうと)をつくるためのソフトウェア群ということ。 この OpenStack のスタート地点、原点を理解した上で、OpenStack を採用するかしないか、どのようなシステムでOpenStackを活用するかを考える必要がある。
昨年から今年にかけて、Gartner Group や IBM が相次いで企業における情報システムを2つに分類することを提唱し始めている。 Gartner は Bimodal IT と称し MODE1 と MODE2 に分類。 IBMは、SoR (System of Record) と SoE (System of Engagement) のふたつ。 共に全社は従来型のアプリケーション、後者は近年のアプリケーションという枠組みである。 従来型アプリケーションがITインフラに求めていたのは「安定性」や「堅牢性」だったが、MODE2 や SoR に分類されるシステムは、より「迅速性」や「柔軟性」を求めるというものである。
( 出所:CTC藤岡氏および日商エレ木部氏の資料 <2015/7/13 OpenStack Summit の歩き方 パネルディスカッション> をもとに成迫が加筆 )
MODE2 や SoE はクラウドネイティブアプリケーションであることが多く、これらのシステムをAWS等のパブリッククラウドではなく、プライベートな環境で稼働させたいと思うならば、OpenStack をベースとしたプライベートクラウドの構築が有力な候補となるだろう。 既に米国だけでなく日本においても先進企業を中心にOpenStackを利用したプライベートクラウドの構築事例がでてきている。