ITマネージャー覆面座談会:ITでブラックボックス化されている業務プロセスへの処方箋
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先日、ITマネージャー覆面座談会という、如何にも怪しい名前の会合にオブザーバーとして参加する機会があった。
参加者は、ITマネージャーというよりも、CIOおよびCIO補佐レベルの方々、しかも日本を代表する大企業の方々ばかり。
この錚々(そうそう)たるメンバーによる座談会、予定時間を大幅に超えて白熱した議論が行われた。
以下記事でその一部がレポートとされている。
オフィシャルな記事だと、白熱議論のごく一部がかなり柔らかい表現となっているが、それでも非常に参考となるレポートとなっており、是非一読することをお勧めする。
さて、この覆面座談会での議論で、僕が教務深いと思ったことを幾つか紹介したい。 まず、業務プロセス関連、BPM関連の議論から。
議論の発端は風越敬三氏(大手商社 情報システム部 部長)の発言だった
- 総合商社では、元々仕事はすべて人海戦術的にやっていた。
- この人海戦術で行っていた業務プロセスを、そのプロセスが理解できる社内のIT部門が効率化のためにIT化してきた。
- 業務プロセスを熟知したIT部門のSEたちが定年退職してしまい、今や業務プロセスを理解している人材が業務部門にもIT部門にもいなくなってしまった。
それに加藤哲哉氏(メガバンク系経営アドバイザー企業 取締役)がすかさず賛同した。
- 高度成長時代のITの弊害。
- システムで行われている”裏”の処理を知っている人がいなくなってしまった。
- 例えば、銀行でも勘定処理について詳しくわかっている人が少なくなってしまった。
白熱議論は続く。
- 製造業でも事態は深刻だ。 例えば BOM は二度と作れないかもしれない。
- フォードは BOM を作り変えるのに5年の期間と莫大なコストをかけている。
- 日本の場合、BOMを作った人々が全員定年退職してしまっている。
- 今動いているものを少し修正しようとおもっても、直すのに一苦労する。
- 少しでも変更したら、どこにどんな弊害がでるのか分からない状況。
そして、そんな重篤な状況への処方箋は・・・
- 定年退職した担当者を再雇用するしかない。
- その人と現在の最新のテクノロジーに長けた人で、業務プロセスを再設計すべき。
- その際に考慮すべきは、『世界にひとつしかない業務プロセスにしないと勝てない』とか『他社と同じではいけない』という幻想に囚われないこと。
- 同じような業務プロセスであっても、効率やスケールで差別化ができるはず。どのようにマネージしていくかが大切であり、これが今後のIT部門の使命のひとつだ。
さすが百戦錬磨のCIOクラスの方々の議論だけあって、核心を突いた内容であった。しかしながら、その処方箋は非常にシンプルなこと。 社内のIT部門は、IT技術に長けているだけではダメで、むしろ自社の業務に精通していなければならないということだった。
そんな簡単なことに気付いていないIT部門もまだまだ少なくなく、それが『動かないコンピュータ』を作り出してしまっているのかも知れない。
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