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スマートデバイス、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティングが可能にする新しいワークスタイル

リクルーティングにおける「場」の重要性が再認識される

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あまり「なんとかリクルーティング」と名前をつけるのは、本質からずれた議論になる可能性が高く好きじゃないのであえて名前はつけませんが、2012年くらいからリクルーティングにおける「場」の重要性が再認識されるんじゃないかという気がしています。

特にスタートアップ段階において、人材の採用は非常に難しく、加えて今後の成長を左右するといっても過言ではないもっとも重要な問題です。しかしながら、スタートアップは知名度も低く安定感もまだまだなため、従来の採用手法で母集団を形成するのは難しいでしょう。それに、知名度や安定感を求めて入社する人はそもそもスタートアップには向かないはずです。そんなスタートアップにとって、コワーキングスペースやシェアハウスといった「場」を活用することが、彼らのリクルーティングにとって有効な手段となりえると思っています。

具体的なケースで考えてみましょう。現在東京だけでなく関西でも多数のコワーキングスペースができていますが、そこには日々たくさんのエンジニアやデザイナーが集まってきています(まだたくさんと言えるほどではないかもしれませんが)。実際に会員として来るケースもあれば、そこで開催される勉強会をきっかけに来るケースもあるでしょう。ノマドワーカーやフリーランスもいれば、起業したばかりで人脈を広げるために来る人もいます。コワーキングスペースの運営者は、彼らを結ぶコーディネーターとしての役割も果たしてくれるので、そこで新たな出会いも生まれています。中にはここでの出会いから協業につながったり、仕事の受発注を行うケースも出てきています。まだ事例は知りませんが、採用につながることがあっても不思議ではありません。要するに従来の転職サイトや人材紹介会社が果たしていた媒介機能の一部を、こうしたコワーキングスペースが担いつつあるのです。

人が集まる場があり、そこにコーディネーターとなる運営者がいるのですから、当然といえば当然なのですが、コワーキングスペースのそうした魅力はまだ十分に語られていないように思います。Wi-Fi環境と電源が整備されていて外にいながら仕事ができるのが魅力なのではありません。コワーキングスペースの最大の魅力は、そこで生まれる出会い、すなわちビジネスマッチングだと僕は思います。

もちろん昔から「場」はとても重要なものでした。だからこそ就職・転職イベントやセミナーがこれほどまでにあちこちで開かれているのでしょう。しかし、コワーキングスペースのような「場」は、イベントやセミナーとは異なります。就職・転職イベントがマスメディア的な「場」であるのに対し、コワーキングスペースはソーシャルな文脈での「場」なのだと思います。

この流れをとらえると、一般企業でもいろいろとできることがあることに気がつきます。たとえばオフィスの一部を外部に開放したり、社外の人でも参加可能な勉強会を開催するなど、(外部の)人が集まる「場」としてオフィスをデザインする。そうすることで、社内の活性化はもちろんのこと、リクルーティングにまでも効果を発揮する可能性があると思います。実際にアイティメディアさんやECナビさんではよく社外の人でも参加可能なイベントを自社オフィスで実施されていますが、こうした「場」を通して自社のオフィス環境、そしてのその先にある社風やカルチャーを伝えることができていると思います。

ごく個人的な見解ですが、この「場」を活用したリクルーティングは、2012年以降徐々に活発化してくるように思います。また、これは一部のIT企業のみならず、その他業界の企業や地方自治体、NPO・NGOなど、さまざまなジャンルの団体にとって活用することができる方法であることも、大きな可能性を感じる理由です。

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