ソーシャルリクルーティングに大切なことを思い出させてくれる、ぜんぜん「ソーシャル」じゃない求人広告
本日(もう昨日ですね)からオルタナブロガーに参加させていただいた武田です。初回の投稿はあくまで自己紹介的なものだったので、次の投稿では自分のワークスタイル全般に対する見解をまとめようと思っていました。
しかし今日、久しぶりに素晴らしい求人広告に出会い、すぐにそれをご紹介したくなってしまったので、ちょっと番外編的な位置付けで書くことにしました。
その求人広告はこちらです。まずはリンク先をご覧ください。
弁護士の募集について(弁護士法人リーガルエイド法律事務所)
求人広告にしてはやや長い文章なので、お時間ある時にじっくり読んでいただきたいのですが、末尾の部分にこの事務所の考え方が集約されていますので、以下に引用させていただきます。
この事務所では、「何をするか」以上に「誰とするか」を重視しています。 この事務所に全く興味がないのに、就職がないから応募している人や、数分の面接を乗り切れば仕事にありつけると思っている人は真っ先に排除します。 探している人材は、事務所のみんなと価値観が合って、楽しくやっていける特別な人です。
ここで「特別な存在」とは別に優秀とかそういう意味ではありません。頭が異常に切れるけど、事務所と距離を置いて飲み会にも来なかったり、事務員を見下したりする人と、ちょっぴりお馬鹿さんだけど事務所のメンバー全員と仲良くやってくれて、事務所のことが好きになってくれる人であれば、後者の人と仕事がしたいのです。言われたことを最小限にやるだけでは不十分と考えていて、気配りができる方と仕事がしたいのです。自己研鑽は自己責任であること、自分の仕事は自分で取ってくることを自覚している事業家とだけが仕事をしたいのです。
そういう意味では、学歴は問いません。司法試験の成績順位も問いません。しかし、弁護士になりたい人と仕事がしたいわけではありません。人一倍賢いだけの人と仕事がしたいわけではありません。本当にこの事務所で事務所の人達と一緒に働きたい人、その人とだけ働きたいのです。
一緒に働けてよかったと将来思える人が応募してくれれば、これ以上の喜びはないです。
いかがでしたでしょうか。この求人広告、Webの構造的にはぜんぜん「ソーシャル」じゃないのです。いわゆるソーシャル界隈の人たちが見たら、「ここにシェアボタン置いて拡散させなきゃ!」「OGP対応も必須!」「Facebookページ作りましょう!」とか言いたくなると思います。僕だってそう言うでしょう。そもそもHPにはどうやって戻るんでしょう(笑)
でもこの求人広告、少なくとも僕のまわりではけっこう多くの人がTwitterでRTしたりFacebookでシェアしたりしています。僕のまわりにいる人の中にこの企業のターゲットとなる人材がいるかどうかは別にしても、ソーシャルメディアを介してターゲットに届く可能性は高まるに違いありません。
このぜんぜん「ソーシャル」じゃない求人広告は、ソーシャルリクルーティング(あるいは「ソー活」)にとって大切なことを思い出させてくれます。それは、以下の2つです。
- 求職者と採用担当者の双方が、対等な存在として真摯に向き合うこと
- 良いことも悪いことも包み隠さずオープンであること、もしくはそうありたいという気持ちが伝わること
FacebookやTwitterへの対応とかそういうテクニック論を考える前に、上記2点を企業の採用担当者が持てるかどうか、ということがソーシャルリクルーティング(というかそもそもの採用活動)においてはもっとも重要であり、それが伝わる情報さえオープンにしておけば、ソーシャルメディアを介してスピーディーに情報が拡散していく。しかもこの求人広告のようにネガティブな情報もきちんと掲載しておけばミスマッチも防げるでしょう。
求職者も求人企業もお互いにこびることなく、でも真摯に正直に情報を発信し合う。そういう形で採用活動が行われると両者にとって素晴らしいと思いますし、そういう活動の場として、ソーシャルメディアは非常に有効なツールになるでしょう。
この求人広告は、僕ら人材サービスを提供する事業者にとっても、より良いジョブマッチングとはどうあるべきか、という原点を見つめなおす良いきっかけとなりました。