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スマートデバイス、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティングが可能にする新しいワークスタイル

企業の事業戦略にも影響を及ぼしつつある個人間コラボレーション

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LightningSpotのようなコワーキングスペースの登場により、スタートアップやフリーランスの方々にはかなり個人主体のコラボレーションが生まれやすい環境が整いつつあります。もちろん背景として、クラウドコンピューティングなどの技術革新が大きな役割を果たしていることも付記しておきます。TwitterやFacebook上で「一緒にやりましょうか」と声をかけたり、「誰か一緒にやらない?」とつぶやけばフォロワーの誰かが紹介してくれる。そんなことが日常的にタイムラインには流れてきます。一部クローズドでやりとりしなければいけないところもあると思うのですが、少なくとも最初のやりとりはオープンであることが多く、やりとりしている当人以外の人たちもそのやりとりを眺めています。

こういった動きってまだほんの一部でしかはじまっていないと思いますし、フリーランスの方と違って会社勤めをされている方なら尚更難しいでしょう。これまでビジネスのやりとりはクローズドな環境でされることが当然だったからです。過去形で書きましたが、今ももちろんそうですよね。業界によってもこういった形式との親和性はさまざまだと思います。

でも、僕のまわりでは、企業に所属する個人同士が結びついていくのを確実に実感しています。しかもここ数ヶ月で急速に。

僕が人材ビジネスに携わるようになってもうすぐ7年が立ちますが、これまで同業他社の人と新サービスのディスカッションをしたり個人同士でやりとりをすることはほとんどありませんでした。経営者同士の交流は今も昔も一定程度あると思いますし、メンバー層でもイベント(フットサルとかw)等で挨拶する程度のことはあったと思いますが、それはどこか特別なことでした。しかし、この数ヶ月で、僕はかなり多くの同業他社のみなさんと勉強会をしたり、飲み会をしたり、新サービスのブレストをしたりと、かなり頻繁にやりとりをしています。こういう形で僕のようなマーケティングサイドの人間が同業他社の人と個人間でやりとりをするのは、これまでの業界慣習的にはかなり珍しいことです。

人材ビジネスはリーマンショック以降、かなり大きなダメージを受けました。各社とも業績が悪化し、コストカットや人員削減を余義なくされ、これまでと同じようなビジネスモデルでは立ちいかなくなりました。各社が新しいビジネスモデルの確立を目指す中で、社内にとどまらず社外の人たちで集まり、ディスカッションしようという流れがあるのを感じます。さらに、ソーシャルメディアで個人同士がゆるくつながったことも、その動きを加速させています。

ここには、これまでのような「競争」という意識はありません。むしろ、「共創(Co-Creative)」という意識がしっくり来ます。僕らがやるべきことは人と仕事のより良いマッチングのあり方を追求することであり、その目的のもとではみんな同志です。各社の取り組みをシェアして、それぞれのできる形で新しいビジネスモデルを作っていこう、そんな空気があります。

こうした考えは別に今にはじまったことではなく、昔から多くの方が提唱されてきました。さまざまな書籍も出版されています。ですので思想としては新しいモノでもなんでもないのですが、僕のように法人に属する個人が、具体的な体験をもってそれを実感できるのは、1つ次のフェーズに進んだということなんだと思うのです。この流れは今年から来年にかけてもっと加速すると思いますし、きっとそれに適応できない企業はどんどん淘汰されていくでしょう。

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