2019年新卒採用を成功させるためのポイント(後編)
前回『2019年新卒採用を成功させるためのポイント(前編)』と題して、具体的に行うべきことを述べました。
その際にお話をした採用成功のポイントはいろいろとありそうで、きちんと整理すると実は
・母集団(=(新卒で言えば)会社説明会への参加者数)を増やす
・選考途中の離脱を減らす
・内定辞退を減らす
の3つしかありません。
・母集団(=会社説明会への参加者数)を増やす
・選考途中の離脱を減らす
ための具体策は前編で述べましたので、今回は「内定辞退を減らす」ための具体策についてお話をしたいと思います。
10月1日に内定式を行う企業も多いと思いますが、来年の10月1日を笑顔で迎えられるように今からしっかりと対策を考えていきたいところです。
●内定辞退防止の「打ち出の小槌」は存在しない
内定辞退には多くの企業が頭を痛めており、新卒採用において大きな問題であり、永遠の課題です。
正直に申し上げて、内定辞退防止の「特効薬」や「打ち出の小槌」はありません。
前回もお話しましたが、求人倍率を企業規模別にみると、300人未満の企業の採用目標数の合計が1万人だとするとそこに応募してくれる学生は1500人しかいません。
対して、5000人以上の企業の採用目標数の合計が1万人だとするとそこに2万5000人の学生の応募が殺到しています。
そうしたマーケットになっている中、中堅中小企業においても優秀な学生を採用したい訳ですので、激しい取り合いになるのは必至です。
また、今後は学生の数も減っていきますので、この取り合いは更に激しさを増すことが予想されます。
そうした環境の中で、内定辞退をゼロにするのは非常に難しいことです。
ただ、だからといって何もしなければ辞退者が続出するだけになります。
内定辞退を可能な限り少なく抑えること、特に自社にとって絶対欲しいと思う学生の辞退を防ぐことをまずは優先すべきだと思います。
●欲しい学生のことをどれだけ知っているか?
学生個々の情報はエントリーシートや会社説明会、面接を通して充分に把握していると思っている採用担当の方が多くいると思いますが、本当にそうでしょうか?
欲しいと思っている学生が「どんな会社(社名含め)を何社くらい受けているか」「自社の志望順位は何位か」「就職を最終的に決める決め手は何か」「困ったり、迷ったりしたときに相談する相手は誰か」等々、細かい点まで把握している方はそんなにいないのではないでしょうか?
採用したいと思う学生に対してはその学生専用の「パーソナルヒアリングシート」を作成して、前述したような項目を面接などで接触する毎に(欲を言えばインターンシップなどの早期接触の段階から)聞きながら、少しづつ埋めていき、最終面接前にはそのシートがすべて埋まっている、その学生の個々の情報はすべて押さえられている、といった状態になっていることがベストです。
最終面接前に学生個々の情報が押さえられていれば、最終面接者(社長や役員)に「この学生は〜〜なので、・・・といった話を中心にお願いします」といった依頼をかけることも可能となります。
やはり社長や役員からの話は学生にとって、会社を選ぶ上で大きな影響力を持ちますので、この機会を有効活用することが重要です。
●学生毎の状況に合わせた内定フォロー
一般的に内定者のフォロー活動は年齢の近い若手社員を中心に行っていくのが良いと言われています。
その方が学生も気軽に話ができ、年齢が近いので内定者の時期に悩んだことなど、いわゆる「話が合うため」です。
しかし、若手社員の場合、自身のキャリアもまだ浅いので、会社の長期的な方向性や10年後のキャリア等まで語ることが出来ません。
そうしますと内定者からすると入社後、長期的にどんなキャリアを目指すことが自分に合っているのかなど、将来的な不安は解消出来ないままです。
その場合、若手社員と長期的なキャリアを積んできている例えば、入社10年目の社員とのペアによる内定者フォローしていくことをお勧めします。
また、内定者の中で自社への入社意識の高い学生に内定者をまとめるような役を与えるなどして、内定者同士の結束を高めていくことも効果があります。
中堅中小企業の場合、採用数はそこまで多くない(ex.10名〜30名)ことが多いため、学生一人ひとりの性格や考え方などをしっかりと把握することも可能です。
ので、前述させていただいた学生毎の「パーソナルヒアリングシート」を充実させていくことが、内定者フォローの第一歩なのです。
前回、採用活動は営業活動と同じだとお話しました。
営業に求められるのは正しいヒアリングをし、そのお客さまに合った営業活動をすることで、お客さまから信頼されることです。
採用活動も学生から正しいヒアリングをし、その学生に合った採用活動やフォロー活動をしていくことで、学生からの信頼を得ることです。
そうした地道な努力の積み重ねが内定辞退防止に繋がっていき、成功事例を増やしていくことで自社独自の内定辞退防止ノウハウが出来上がっていくのです。
細やかな対応はとても労力が必要ですが、覚悟を持って臨まないと新卒採用は成功しない時代です。
19採用の成功に向けて、全社で採用活動・フォロー活動に取り組んでいただければと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。