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私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

採用今昔物語 ポテンシャル採用の意味と手法の変化

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実務経験がほとんどない若い人材を採用する際には、経験や技術よりも意欲や人間性を採用の判断基準とせざるを得ません。
その人が持っているであろう「潜在的な能力」に期待して採用する、それがポテンシャル採用です。
中途採用で20代前半の若い人材を採用する場合なども実質ポテンシャルに期待した採用となりますが、実務経験ゼロの学生を採用する新卒採用はまさにポテンシャル採用そのものです。
将来性に期待して採用する分、自社の期待に沿ったパフォーマンスを将来的に発揮できなければ「期待はずれ」といった結果になってしまいます。
今回はポテンシャル採用の歴史を振り返りながら、今の時代に合ったポテンシャル採用を成功させるにはどうしたらいいかを考えてみたいと思います。

●潜在能力は人によって大きく違う。

新卒採用はポテンシャル採用であるということに関して、多くの経営者や人事担当者は当然のことと理解しています。
しかし、ポテンシャルと一言に言っても、持っている潜在能力は人によって大きく違います。
その辺りをしっかりと理解していないと採用はうまくいきません。
一昔前までは「ポテンシャル=やる気」といった感じの採用を多くの企業が行っていました。
確かにやる気は大事ですし、やる気のない人材を採用する企業は存在しません。
スポーツなどでも最後は気持ちが強い方が勝つと言われますし、それは事実だと思います。
ただ、それはその競技の実力が同じレベルである場合にメンタルが強い方が勝つという意味です。
仕事を進める上でもメンタルの強さは必要ですが「やる気さえあれば何でもできる」というわけではありませんし、そうした根性論的な考え方は、今やスポーツの世界でも通用しません。
単にポテンシャルという言葉で一括りにしてしまうのではなく「自分たちはどんな能力を求めているのか」「その学生にはどんな潜在能力があるのか」といった点を明確にしていくことが重要ですし、それがポテンシャル採用成功の第一歩です。

●新卒学生に何を期待して採用するのか。

自社が成長していくためにこれからを担っていく新卒学生に入社後、何を期待するのかを明確にすることは大変重要なことです。
プロ野球のドラフトを例に挙げれば、チームの状況を考慮し「長打力のある選手」を採るのか、「足の速い選手」を採るのか。
はたまた「剛速球を投げる投手」を求めるのか。
さまざま角度から検証し、将来強いチームになっていくために必要な選手を指名していきます。
新卒のポテンシャル採用もそれと同じです。
自社がこれから発展していくためには、どんな能力を持った人材を採用するべきかを考え、方向性を明確にすることが重要なのです。
私が新卒でリクルートに入社したとき、リクルートの採用基準は「強い子、良い子、元気な子」でした。
翌年は「強い子、良い子、元気な子、賢い子」となぜか賢い子がプラスされましたが(笑)。

リクルートではこの新卒社員の採用基準を社員が集まる会合やイベントなどで創業者の江副さん自らが伝え続けることで、全社員共通の認識になっていました。
この全社員で共通の認識を持つということも大切です。
「会社が今後成長していくために必要なことは何か」「そのためにはどんな人材が必要か」だから「新卒学生には○○を期待する」といったことを人事でだけではなく仕事をする現場でもしっかりと理解していることで、新入社員の成長も早くなりますし、企業の業績アップにもつながっていきます。
経営トップが「新卒学生に期待すること」を明確にし、全社に浸透させることは新卒ポテンシャル採用を行う企業にとってとても重要なことなのです。

●期待することを学生に明確に伝える採用活動。

最近は前述した「ポテンシャル=やる気」といった感じの採用はかなり少なくなっています。
その理由の一つにSPIなどのテストなどの進化、充実があります。
例えば、社内の各部署で高いパフォーマンスを上げている社員の行動特性と同じ行動特性の学生を採用すれば、理論的には自社で活躍する可能性は高くなるといった「コンピテンシーモデル」を活用した採用を行う企業も増えてきています。

ただ、自社が学生に期待することを明確にしてもそれを応募する側である学生に伝えなければ、欲しいと思っている人材と出会える確率は低くなります。
「どんな人材を求めているのか」「将来的にどんな能力を発揮して欲しいと考えているか」を学生に伝えていくには、企業の考えを明確に反映出来る会社説明会やそれを見極めるための面接を行っていく必要があります。

また、それ以前に、自社の新卒リクルーティングサイトや就職ナビサイトの表現方法や先輩社員の人選など、学生と接するさまざま部分に工夫と神経を使わなければなりません。

だからといって、何か従来と違う特別なことをしなければと考えることはありません。
最近では、船上会社説明会で模擬合コンを設定してコミュニケーション能力のポテンシャルを判断するといった企業もあるようです。
個人的にはバブル時代再びといった感じであまりお勧めはしませんし、コミュニケーション能力を判断する方法は他にもたくさんあります。

私自身も時代の変化をしっかりと踏まえた上で、ポテンシャル採用を成功させるにはどうするべきかをいろいろと考えていき、お客様にご提案させていただきたいと思っています。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

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