採用今昔物語 2016年卒新卒学生の後半型採用を成功させるには
2016年採用もほぼ終盤に近づいていますが、採用がうまくいっていない企業もあります。
特に今年は採用スケジュールが変更になり、思ったように採用出来なかった企業も多いようです。
中には採用目標数を満たせず、10月1日の内定式を延期、もしくは中止した企業もあります。
こうした環境の中で、後半型採用を行う企業も多く出てきています。
ただ、学生の多くは既に内定を確保していますので、後半型採用で思ったような学生が採用できるとは限りません。
今回は、後半型採用を成功させていくためのポイントを紹介していきます。
●昔から後半型採用を行う企業は多かった。
今年は採用スケジュールの変更で思ったように採用ができず、後半型採用を行う企業が多いようです。
しかし、昔も二次募集や秋採用といった形で、後半型採用は行われていました。
特にバブル景気の頃は、年度初めに採用目標人数を設定したら、その人数を採りきることが至上命題でした。
とにかく採用人数を採りきるために、後半型の媒体に追加掲載し、会社説明会を追加で開催しました。
採用目標数を達成させるためには手段を選ばずみたいなところもあり、当時は追加予算も出やすい環境でした。
私がリクルートで営業していた当時、見開き2Pの掲載料は車が買える程の金額だったのにも関わらず、お陰様で多くの企業に掲載していただきました。
しかし、バブル崩壊後は新卒採用を手控える企業が増えるなど、新卒採用需要は冷え込みました。
また、その後のITバブル崩壊の頃から「ミスマッチ」といった問題が注視されるようになり、多くの企業が無理をしてまで採用目標数を達成するといった姿勢を改め始めました。
新卒採用が「量から質へ」大きく転換したのです。
●後半型採用対象学生のねらい目。
後半型採用でまず目を向けることをお勧めするのは、帰国子女です。
帰国子女は卒業時期が違うため、従来の採用スケジュールでは帰国した時には既に採用活動が終わっている状態でした。
それも今回、採用スケジュールを変更した理由の1つです。
しかし、蓋を開けてみたら、多くの企業が倫理憲章を守らない形で内定を出すなど、帰国子女の就活環境はあまり改善されなかったのが現実です。
帰国子女の情報が集まるのは、主にキャリアセンターですので、まずはキャリアセンターを訪問するのがいいと思います。
この時期になりますとまだ就活中の学生もキャリアセンターに相談するケースが増えてきます。
その際に、インターンシップや2017年卒採用に向けた挨拶も含めて行くと効率的かもしれません。
体育会系学生も狙い目の1つです。
大学野球などは秋季リーグを行っていますが、強豪校は、プロ、ノンプロをはじめ、OBとの繋がりなどで、ほとんど既に内定先が決まってしまっています。
ただ、中には部の活動に夢中になり過ぎてしまい、まだ就職先が決まっていない、これから就活を行うといった学生もいます。
体育会系の社員がいれば母校に当たってもらうというのも手ですし、体育会系学生専門のエージェンシーもあり、そうしたところが行っている合同説明会もあります。
また、体育会系に限らずこの時期は、自治体や商工会議所主催の合同説明会等もありますので、そうした場を利用するのもいいと思います。
●後半型採用のメリット、デメリット。
採用がうまくいっていない企業は多いとはいえ、2016年卒学生の2015年10月1日時点での内定率86.4%(リクルートキャリア調べ)ですので、後半型採用は少ないターゲットの中から自社に合った人材を探し出すことになります。
簡単にはいかないのが現実で、正攻法だけではなかなか採用に結びつきません。
大手のナビを利用している企業であれば、ナビエントリー者の掘り起こしというのもあります。
エントリーだけで説明会不参加、説明会に参加したが、その後の選考に来ていないといった学生に連絡をとってみるのです。
一度は御社に興味を持ってくれた学生ですので、話はしやすいですし、現在、まだ就活中の学生を掘り起こせる可能性もあります。
また、これは賛否両論あるかと思いますが、再チャレンジ制度として一度不合格とした学生に、今一度声をかける企業もあると聞いています。
後半型採用は優秀な学生と出会いにくい訳ですが、大手企業と同じ土俵(スケジュール)で勝負しても勝ち目がないと考える企業や、不人気業種の企業の中にはあえて後半型採用を行っている企業もあります。
この時期に内定を承諾してくれた学生は他に逃げにくいため、ある意味、効率的と言えるかもしれません。
後半型採用を成功させるためには、後半型に集約して、少ない学生のパイから自社に合った人材を採用するという覚悟と意気込みが必要です。
ただ、早期から採用活動をスタートしたのであれば、マイルストーンを明確に定め、最初から秋まで採用活動をやろうとは考えず、出来るだけ早く採用活動を終わらせて、この時期は次年度に向けた採用戦略の立案に取り掛かれるのが理想的です。
私も各社にとって理想的な採用を実現するためのご提案をし続けていきたいと思っています。
以上、何かのご参考になれば幸いです。