オルタナティブ・ブログ > 経営者必読! いまどきの採用・教育・若者 >

私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

16新卒採用に向けて、リクルーターの上手な活用法

»

リクルーターとは、若手社員を中心に研究室やゼミやサークルなどを介して、出身大学の後輩学生に自社の魅力をアピールしたり、就職活動の相談に乗ったりすることで、入社へと結び付けていくというものです。

80年代は多くの企業がリクルーターを動員していましたが、就活サイトの登場や景気後退による新卒採用環境の変化などにより、リクルーターを活用する企業は減少傾向にありました。
しかし、16新卒採用はスタートが3月に変更になり、短期決戦が予想されています。
そうした中で、リクルーターが再認識されており、リクルーターを復活させたり、更に強化させる企業が増えています。

今回は多くの企業がリクルーターの活用へと動いている中で、リクルーターを上手に活用し、成果を上げていくにはどうしたらいいかを考えていきたいと思います。

●どのタイミングでリクルーターを活用するかが大事

リクルーターは、会社の全体像がある程度わかってきた若手社員が学生と直接会って話をすることで、学生にしっかりと自社の魅力を伝えていくことが主目的です。そのため入社1~5年目の社員が担当するケースがほとんどです。
学生にとっては、人事ではない現場で仕事をしている先輩社員の生の声を聴くことができるというメリットがあります。また企業は学生との接点を持てることで学生のざっくばらんな本音を聞き出すことが出来ます。

リクルーターを活用するタイミングはいくつかあると思います。
最初のタイミングは早期接触の時期です。
特に16採用では大手企業のほとんどが、来年の3月よりも早い段階で学生と会う手段としてリクルーターを活用することが確実視されています。

次のタイミングとしては選考プロセスの中でどうしても採用したいという学生にリクルーターを動員し、志望意識を高めて、入社へと導いていく、というものです。

最後のタイミングとしては、内定後のフォローとしてアドバイザー的に活用する、というものです。

リクルーターを初めて活用する企業や、リクルーターに多くの人数を割けない中小企業は早期接触の時期での活用は難しいと思います。まずは、選考プロセスの中や内定者フォローでの活用をお勧めしたいと思います。

また、大学の研究室やゼミやサークルを介してと言っても、OB、OGとの繋がりを持っているところばかりではありません。
というよりもゼミやサークルの場合、OB、OGとの関係が希薄なところが大半です。
理系であれば研究室との繋がりというのがありますが、文系の場合は上記のような事情から現役の学生との関係を築くことそのものが厳しい状況にあります。

大手企業であれば大学のキャリアセンターとの繋がりもありますし、早期の学内セミナーへの参加も可能です。
そうしたアドバンテージがない場合、無理して早期接触を図るよりも、ポイントとなる場面、場面での重点的な活用が効果的だと思います。

●リクルーターの活用は現場の理解が必要不可欠

現場の社員を採用活動に動員するリクルーターは、リクルーターを任せる社員や現場の上司はもちろん、現場で働く社員全員の理解がないと上手くいきません。
数時間と言えども現場から離れるので、周囲の協力体制がないと作業効率が落ちたり、
営業の場合は売上が落ちたりする可能性も懸念されます。

ですので、TOPがリクルーターの活用についてしっかりと考え、それを社員に伝え、人事を始め、全社で取り組んでいく心構えが必要です。

最近では若手社員と10年目のベテラン社員がリクルーターとしてペアになって学生と話をするというケースも出てきました。
若手社員は学生が気楽に話せるというメリットがある反面、事業や仕事全体を俯瞰した話が出来ないという面があります。
特に高度な技術を有するメーカーや、業界ならではの深い知識が求められる仕事などでは、若手が答えられない点をベテラン社員がフォローすることで、学生の疑問や不安を解消し、入社へと結び付けています。
リクルーターは現場が人事に協力してあげている、という姿勢ではなく、「いい人材を全社で採用する」という目的に向けて、全社で意識を統一して、しっかりとした体制を整えることが最重要で、それが採用成功への大きな鍵となります。

●リクルーターは採用成功するだけではなく、社員の成長にも繋がる

初めてリクルーターを動員してみたけれど、結果、上手くいかなかったという苦い経験をした会社もたくさんあると思います。
というよりも、導入していきなり成果を上げるのは難しい面があります。

前述しましたように大学等との繋がりがそもそも希薄でルートが作れない、こともありますが、リクルーターを任された社員も普段、なかなか話すことが無い学生との会話で、
いきなり学生の質問に完璧に答えたり、学生の動機を高めるのは少々無理があります。
リクルーターには事前にどんな話をするかなどの擦り合わせや、人事との打ち合わせなど事前準備が不可欠です。

私どもでも『リクルータートレーニング』を行っていますので、何かあればお気軽にご相談いただければと思います。

上手くいかなかったからといって1年で辞めてしまうのではなく、継続していくことで大学等との繋がりも生まれてきますし、リクルーターを担う社員は、学生からの質問に答えられるようになるために自社、自分の仕事等について振り返り、勉強することになりますので、リクルーターを経験することで、リクルーター自身の成長にも繋がっていきます。

また、自分が会って話をした学生が入社へと結び付けば嬉しいですし、その学生をしっかりと育てていこうという気持ちになり、結果、仕事へのモチベーションもアップすることが大変多いです。

リクルーターが機能するようになったら、学校ごとにリクルーターを配置し、会社説明会への動員目標を設定し、達成したところにはインセンティブを出すなど、リクルーターの制度そのものをステップアップさせていくなど、採用活動の一部としてリクルーターを上手く活用していって欲しいと思います。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

個別無料コンサルティング

Comment(0)