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知的集中力がやってくるゴールデンタイムを逃さないコツ

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「集中力がないから良いアウトプットが出ない。集中力を高めたい」と考えていました。

知的生産性の高い仕事をする人を見ていると、座ってすぐにパソコンに向かい、3時間くらい途切れることがありません。声をかけて返事がないこともよくあります。すごく集中していることが分かります。

私はすぐに集中できることがほとんどありません。とりかかるまで、新聞を読んでからとか、本をめくったりとか、お湯をわかしてお茶をいれてからとか、仕事以外の雑多な作業に逃げて、やる気が出るまで時間がかかります。せっかく作業を開始しても、宅配が届いたり、電話が来たりするとすぐに集中が途切れてしまいます。電話を切ったあと仕事に戻っても、さっきまで何をしていたのか分からなくなってしまうほどです。

じつは集中と知的生産性の関係性は、時間の制し方がポイントになってくるらしいのです。
つまり、その人に集中する力があるかないかではなく、単純に時間なのです。

英語学者で評論家の渡部昇一氏は、「知的時間で押さえておきたいことは、脳の働きと時間の関係です」と言います。
それを渡部氏は、英国の詩人・コールリッジの名詩「クラブ・カーン」が未完に終わっている理由で説明しています。それはコールリッジが作詞を始めて50行目にさしかかった時、突然の訪問者があったからなのです。コールリッジは、客の対応をしたあと机に戻ったのですが、二度と詩のイメージが戻ってくることはありませんでした。

渡部氏は、脳の働きと時間の関係は溶鉱炉と同じだと言います。

溶鉱炉は一度火を消すと大変なので火を消さないようにするといいますが、知的作業も同じで、頭のエンジンが暖まるのに約一、二時間、それからもう二、三時間中断されることなくその仕事を続けると、頭はますます冴えてきて、その仕事にとりかかった時には予想もしなかった展開や思いがけぬ閃きが次から次へと生まれてきます。
このフィニッシュの頃が知的作業の最高の時間なのですが、その時間を引き連れてくるためには、絶対に途中で中断しないことなのです。

開始してから2時間以降が最も知的生産性が上がりやすい時間なのです。
身体を使うような作業であれば休憩も良いのですが、頭のエンジンが暖まる前に知的作業をやめていては知的生産性は上がりません。本当の実力が発揮できるゴールデンタイムは2時間後。そこまで待っていられるかどうかなのです。

まとまった時間をとるのはなかなか難しいですが、中断が入りにくい朝などの時間帯にある程度の時間を確保できると知的生産性が上がっていくのではないかと思います。

集中する力が高ければ知的生産性が高いわけではないのです。時間を確保し、中断せずに作業を続けていれば、知的作業効率が上がり良いアウトプットにつながるのです。

【参考文献】
渡部昇一(2017)『知的人生のための考え方 わたしの人生観・歴史観』PHP研究所

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