本当にためになる指導を受けるときの心得について
コンサルティングにしても、レッスンにしても、対個人での指導は、とても贅沢なものです。
しかし、心得次第で、よりたくさんの物を得ることができます。
同じ時間を使って、これは大変有意義なことです。
それはどういった心得なのでしょうか。
その時間は、最大の集中力をもってただただ真っ白になる。
これが人からものを教わる基本です。
私が一番最初にピアノを師事した先生は、まず一回目のレッスンで
「口答えしないこと」
「質問はしないこと」
「どんなことでも、はい、はい、と言うことを聞けますか」
そして
「それが出来なければ今すぐお帰りなさい」
とぴしりとおっしゃいました。
子供だった私は何も分からず「ハイできます
それからが大変でした。
「カラスは白い」というようなことに等しいことを言われても、素直に聞くことが出来なければならないのです。
親に口答えばかりしていた甘ったれの子供だった私は自分を変えるだけでも精一杯でした。
しかし、それは全て自分のため。
先生のためでも親のためでもないことを何度も教えられました。
先生は真剣そのものでした。
私の出来の悪さにレッスン室を出て行かれたこと、2度や3度ではありません。
レッスンで
「あら、忙しいのね?それとも具合でも悪いの?」
と微笑みながら静かにおっしゃったときには、ぐうの音も出ず、下を向いて黙りこくるよりありません。
もう悔しくて、そして、見捨てられるのではないかと、たまりませんでした。
しかし、こんなに私のために真剣になってくれる人はいない、と子供心に直感し、最初の約束を守りました。
当時は苦しかったものですが、音楽以外に、人の道としても、大切なことを教えていただいたと思います。
自分が真っ白になって打ち込むことの出来る、純粋に真剣勝負の時間が持てたことのご縁に感謝しています。
指導を受けたときは素直に聞いて、家への帰り道「それでも違う考えがあるのではないか」と思うのは良いのです。まずいったんは、自分の中で受け入れる体勢を作ることが大事なのだと今は思います。
そして今でも、まだまだ修行中の自分に、ご指導いただける方々がいる幸せをひしひしと感じています。