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バラバラの人たちでも呼吸や波長が合うことで素晴らしい作品を生み出す

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チョン・ミョンフンという世界的な韓国人指揮者が、2002年に放送されたNHK「未来への教室」で小学生のオーケストラを指揮するというドキュメンタリーを見たことがあります。

小学生のオーケストラでは、ベートーヴェンの「運命」をミョンフンさんに指導してもらいました。
第一回目の練習では、冒頭の「ジャジャジャジャーン」がなかなか合わなくて、ミョンフンさんは「もっと練習しておきなさい」と指導を途中で止めてしまいました。

「合わない」ということはどういうことなのでしょうか。

それは相撲の立ち会いと同じなのです。
相撲の立ち会いは二人の力士が呼吸を合わせることで上手くいきます。
オーケストラは、楽団員全員が呼吸と気持ちを合わせることで良い出だしが生まれ、素晴らしい演奏になるのです。

じつは、ベートーヴェンの「運命」は、聴衆に聞こえていないのですが、「「ジャジャジャジャーン」の前に小さな休符(八分休符)があります。
本当は、「ウン(休み)ジャジャジャジャーン」なのです。
休みから出るということは、「強拍」という強い拍で合わせることができないので、難易度が高い出だしでもあります。
音のない拍を強く感じている団員と、それほど強く感じていない団員がいると、冒頭「ジャジャジャジャーン」にばらつきが出てしまうのです。
それゆえに「運命」は指揮者にとってもストレスのかかる作品です。

そこで、いつもオーケストラの指導をしている先生は、ミョンフンさんが帰ったあと、小学生たちと出だしの特訓を始めます。

ミョンフンさんに指導されたことをもう一度復習をするのかと思ったらば、なんと楽器を置いて外に出たのです。

先生は、小学生達と徒競走のスタートの練習を始めました。

「よーいどん!」で呼吸を合わせて、皆が「ジャジャジャジャーン!」と歌いながらスタートを切るのです。

それを何度も何度も繰り返していました。


ミョンフンさんの指導は、2回あったのですが、2回目の練習で見違えるように出だしの音が合うようになっていました。
そして、出だしが合うようになったことで、他の部分も指揮に対して敏感に反応できるようになってきたのです。

プロのオーケストラと比較すると技術的にもバラバラで、まだ未熟かもしれませんが、世界超一流の指揮についていけるようになったのは、素晴らしいことだと思いました。


これは、オーケストラだけではありません。

企業の皆さんも同じではないでしょうか。

全員の呼吸や波長が合うことで、一人では出来ないような素晴らしい仕事という作品を生み出すことにおいては、オーケストラと似ています。

私はそれを「合唱チームビルディング」という企業向けプログラムで、皆さんにお伝えしています。

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