【ボイトレまとめ 13】子音について「子音に音をつけると上手にきこえる」
本日は子音について書いてみたいと思います。
子音の発声の仕方、子音のさばき方が上手になると、歌も、一段上がって断然楽しくなります。
■音程のつく子音
歌が上手く聞こえるコツがあります。
曲の中で音程がつく子音をを発見し、なるべくその子音に音程をつけてみることです。
[n]の子音は、「第六の母音」とも言われています。
歌の場合、[n]に音程がつきますので、母音と同じような扱いが必要なのです。
他には[z]や[m]や[l]や[r]などにも、時間がかかって音程がつきます。
特に外国語は、音程がつく子音に音程がついていると、楽国語らしくきこえます。
例えば「Ave Maria」と歌うときの「Maria」。
「m~まr(巻き舌)~り~あ」というように[m]と[r]に音程がついていると、あたかも外国語がよく分かっているように聴こえてきます。
そして日本語の場合、[n]の発音「ん」がとても多い。
「ん」は[m]のときもありますが、たいていは[n]です。
[n]は口を開けますが、[m]は口を閉じる、という違いがあります。
[m]の場合は、「新聞紙」「先輩」など、「ん」の次に[b]や[p]などの破裂する音がくるときに用います。破裂させるときに一度口びるをしっかり閉じなくてはなりませんから、[m]を使って、口の動きを一度ですませたいのです。
[n]「ん」の発声のやりかたは、口を少しあけて、舌が上がって上アゴに舌先がべったりとつきます。舌の筋肉が弱いと、舌先が上アゴにしっかりつかず、[l]に聴こえてしまうか、空振りして母音しか聞こえないこともあります。「バナナ」が「バララ」とか「バアラ」と聴こえてしまったりするのです。
とくに、子音を響かせたいときは、子音にビブラートをかける練習をおすすめしています。
例えば、[n]の「ん~」にビブラートをかける練習。
口を開けて、舌のできるだけ全面を上あごにぴったりつけて、「n〜〜〜〜〜」とビブラートをかけましょう。
「ん」にビブラートがかかるということは、きちんと腹式呼吸と横隔膜がつかえている証拠にもなります。
「ん」は息が通りにくいですから腹式呼吸で息を送り込んであげることが必要です。[n]がよくなれば表現にも幅がでてきますから、ぜひ試してみてください。
ビブラートがかけにくい場合は、横隔膜の場所肋骨のすぐ下あたりをグーの手でリズミカルに押してみましょう。ビブラートがかかって、息が流れ出し、子音が良く聞こえるようになります。
■音程のつかない子音
音程のつかない子音は息をしっかり通して時間をコントロールして発声します。
特に難しいのはハ行。
ハ行はとてもやりにくいものです。
[h]は、他の子音のようにひっかかりがないぶん、横隔膜を特に強く使わなければ発音できないからです。
ただ口先だけで発音していても、流されて聞こえなくなってしまいます。
その他、母音を抜いて、息を通しながら発音する[p][t][k][f][s]などの破裂音・摩擦音。「無声音」ともいわれます。
これらのものも、口の中にしっかりと息を通して発音します。
これらの音が聞こえるようになると、子音のさばきや滑舌もよくなり、上手に聞こえます。
そのためには、横隔膜を鍛えるトレーニングをすると、さらによくなるでしょう。
横隔膜のトレーニングをご紹介します。
★★★ 横隔膜ブレス ★★★
(1)横隔膜があるあたり、あばら骨すぐ下(おへそと一番下のあばら骨の間)のお腹に手の平を当てる
ポイント:横隔膜意識のために手を当てます。横隔膜はインナーマッスルで動きます。筋力トレーニングのときに筋肉をつけたい部分を意識すると筋肉の付きが早いですね。それと同じ理論です。
(2)顎を下げて口を開け、思い切り息を吸う
ポイント:このとき肩が上がらないように。お腹が張る感じを手で確認すること。
(3)口を閉じ、頬と鼻の下をぱんぱんに膨らましながら、唇に針一本通るくらいの隙間を開け、チューブにあいた小さな穴から空気がもれるように、圧をかけながら5秒間息をはく。
ポイント:口の前にティッシューをかざすと簡単に吹き飛ぶくらいの呼気です。ここで大事なのは、横隔膜が張っている(支えている)感じを意識することです。腹圧が高まります。
(4)息をはききったら、再び口を開けて1から繰り返す。
ポイント:息をはき切ると慌てて息を吸い込みたくなりますが、それは我慢してゆっくりと大きく吸うこと。慌てると余分なところに力みがきます。
繰り返すと「頭が白くなる」方がいますが、その場合吸う息が足りません。
そうは言っても楽なトレーニングではありませんので、少しキツいくらいが正解です。
(5)これを10回繰り返します。1ヶ月継続すると横隔膜が鍛えられ、滑舌がよくなり、声も通るようになります。