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【ボイトレまとめ 11】 母音の発声

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一番簡単な基本である、ラテン系の母音発声についてお伝えします。

「アエイ系」と「アオウ系」があります。


まずは「アエイ系」

[a]から「e」と「i」と持っていく発声練習です。

(1)基本は「a」の口です。顎が下りてほおが十分のびている状態。舌はのびて下唇の上にさわっています。
 
(2)「a~」と発声しながら、舌を少しずつ持ち上げ舌の両脇が上奥歯に当たるようにする。そうるすとだんだんと「e」に変化していく。途中「e」と 聴こえたら舌の動きを止める。
そのとき注意しなければならないのは、下あごが舌と一緒に上がってこないこと。上がるのは舌だけです。

ポイントは「a」から「e」に移行する間を意識すること。徐々に動いていって「e」に到達する。このときの筋肉の動きがとても大事です。
例えば、ものを握るとき「ぐー」と「ぱー」しかないのではなく、ゆるく握っている段階もあるわけです。ロボットでいうと、卵を割れないようにやわらかく持つというのは高度な技術ですね。
発声練習が上手くいっていれば途中で曖昧な母音が聴えるはずですから確認しながら行ってみてください。
 
そして次は「i」です。
「i」は「e」が出来れば簡単にできます。
先ほどの「e」の発声をしながら、下あごを少し上げる。途中「i」と聴こえたら止める。舌が奥歯に挟まれる感じが強くなります。

上手くいくと、声が自分から離れたところで響いて聴こえます。
日本語の歌にとっても、ラテン系の「e」と「i」のテクニックを上手に利用できれば大変有利です。応用しながら歌ってみてください。



次は「アオウ系」です。

それでは鏡の前でごく普通に「アーオーウー」と発音してみてください。

唇がだんだんすぼまってきて口の中がせまくなってきますね?
「ウ」に到っては、口をかみ合わせて発音しているのが分かると思います。
この口で歌おうとするとなんだか苦しそうに聴こえませんか?

口の中はコンサートホールや教会と一緒だと思ってください。
空間の天井が高いほど、音は豊かに響きます。

それでは、今度はあくびをするときの口で「アー」と発音したまま、口を変化させずに、少しずつ唇だけをすぼめていってください。
鼻の下やあごの皮膚を伸ばすような感覚です。
唇の開きが500円玉くらいになったところで、自然に「オ」が聞こえてきませんか?
そして、さらにすぼめていき、親指をしゃぶる程度の開きになったところで「ウ」が聞こえてくるはずです。

これが、イタリア語を始めとするラテン系の〔a〕〔o〕〔u〕です。

特に、イタリア語の〔u〕の発音では、口の容積を保ったまま、舌を軟口蓋(口内の上奥にある柔らかい部分)の方へ引き上げて発音されるので、日本語のかみ合わせた「ウ」とは比較にならないほどの豊かな響きとなります。


外国人の方は日本人の「ウ」が気になる方が多く、プロでも、外国人指揮者を招聘して演奏会をする場合、必ず〔u〕の母音についての注意があります。
そいうときは大抵〔0〕に近づけた〔u〕で、という指示があり、プロの技術を持ってしてもいかに「ウ」が難しいか、ということがお分かりいただけたと思います。

ただ、どんなに上手に発音しても〔u〕は倍音が少なく、響きが作りにくい母音でもあります。
オペラのアリアで、曲のクライマックスでは〔e〕や〔i〕の母音が多いことはあっても、〔u〕を使用することがあまりないのは、そのためなのではないでしょうか。

よって、オペラ歌手はことさらに〔u〕の母音に気を遣い、用意周到に歌っているのです。


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