良い声を出すためには腹式呼吸のトレーニングは忘れなさい
発声するときは下腹を張り返すように意識しないと良い声は出ません。
できない方が多いのは、「腹式呼吸のトレーニング」が一般的になってしまっているせいです。
なぜなら、腹式呼吸のトレーニングは「息をはくときにお腹をへこます」ように教えられるからです。この方法は、呼吸法としては悪くないのですが、発声するときお腹をへこましては、声は充実しません。
これは、大きな声を出すということではなく、声自体の響きや充実度が落ちてしまうということです。そうなると、声は説得力がなくなってしまいます。
お腹を張るようにするには、表面的な腹筋ではなく、内側の筋肉であるインナーマッスルが使えるようになる必要があります。これは腹筋運動では鍛えられない部分です。
でも、インナーマッスルなんてどうやって意識したらいいのか分からない場合が多いと思います。
意識できる簡単な方法があります。
くしゃみをするときを再現してみましょう。
お腹に手をあてて、「フェッ・・・フェッ・・・は〜くしょん!」とやってみます。
「フェッ・・・フェッ・・・」の部分も大事なので、冷静に見てみましょう。
肋骨下あたりのお腹が震えるように張っていますね?
この「震える場所」を使って発声するのです。喉ではありません。
そして「は〜くしょん!」としたとき、下腹は思い切りバン!と張っています。
ここでお腹がへこむ人はいません。
咳をするときも似ています。
試しに空咳してみましょうか。
「ケホッ」とすると、お腹が張りますね?
ここでへこむ人はいません。
花粉症やアレルギーの時期など、咳やくしゃみをあまり多くすると、とても疲労しますが、実は「いつも使えていない呼吸のためのインナーマッスルを使っている」という理由もあるのです。
良い声をだすための基本は下腹を常に張り続けることです。
息をはいているときに、お腹を逆に頑張って張るようにすることで、か細く弱々しい声の人でもとたんに充実します。
今日は、簡単にできる発声のための呼吸トレーニングをお伝えしましょう。
(1)壁に背中をつけて立つ
(2)顎を下げて口を開ける。肩を上げずに、下腹を張りながら「はあっ」と大きく息を吸う。
(もしわからなければ誰かに下腹を軽く押してもらうとよい)
☆ポイント:下腹はしっかりと前に出て、さわるとパンと張っている。このとき、下腹を無理に出そうとして壁から背中が離れない
(3)そのまま息を5秒とめる
☆ポイント:下腹は張ったまま。
(4)下腹を張りながら「はーっ!」と一気に息をはく。(そーっとはいてはだめです)
☆ポイント:息をはくとき喉で小さく「あ”っ」という言う音がしたら喉でとめているのでよくありません。「喉止め」しないコツは、お腹の頑張りに集中すること。喉の周辺がリラックスしやすくなります。いくら良い呼吸をしていても、「喉止め」をしている限り良い発声はできません。喉で音がしないようになるまで練習すること。
(5)2~3を何回か繰り返す。慣れてくればお腹を押してもらわなくてもできるようになります。息を吸っているときもはいているときも、出来るだけ下腹は「パン」と張った状態を維持するように。