なぜコーヒーが美味しいカフェは【喫煙可】なのか
テーブルに座ると灰皿が置いてある。
喫煙可なのだ。
私はここのコーヒーを飲むために目的地の一駅前で下車している。
「ブルーマウンテンを。」
嫋やかな香りとともにコーヒーが運ばれてくる。
一口飲んだとたん、コーヒーとは異質の強烈な香りが漂う。
隣の席に座ったグループがタバコを吸い出したのである。
私は体質的にタバコの煙を吸うと苦しくなってしまう。
最近は、仕事柄、細心の注意を払っているつもりだが、ここのマスターの淹れるコーヒーの魅力には勝てない。リスクを犯してでも飲むに値するコーヒーなのだ。
熱いコーヒーを「フーフー」しながらそそくさと飲むと、煙から逃げるように早足で喫茶店を出た。
ここの喫茶店に行くときは、隣の席に喫煙者が座らないかどうかは運次第。
飲み終わるまで、喫煙者が来なければラッキーなのだ。
美味しいコーヒーを出してくれる喫茶店は、なぜか「喫煙可」が多い。
スターバックスが全面禁煙を行い、日本全体にも禁煙化が進んだ。さらに近年、サードウェーブの波が日本にも押し寄せると、コーヒーの個性を味わうため、禁煙が一般化しつつある。
しかし、日本の歴史ある喫茶店は、コーヒーとたばこでリラックスする場所だったのだ。
時代に迎合し禁煙にすれば、多くの常連を失うことになる。
マスターにとって、禁煙にするか、喫煙可のまま続けるか、判断に迷うところであるらしい。
「分煙」という考えもあるが、やはり煙は臭ってきて味の邪魔をする。
喫煙室と禁煙室に間仕切りで分けてしまうというやり方もあると思う。
私個人の都合からすると、やはり【全面禁煙】のほうが有り難い。
タバコの煙に邪魔されず、コーヒーの味も純粋にじっくり味わうことができるからだ。
ブルーボトルの日本上陸で、さらなる禁煙化は進みそうだ。
美味しい喫茶店からいつか灰皿がなくなることを密かに祈っている一人である。