なぜあの人は目上の人に引き立てられるのか
やたらと目上の人や上司に好かれる人がいらっしゃいます。
目上の人に好かれることは、仕事が上手くいく秘訣でもあり、人生にとっても大きな意味があります。
好かれるということは、
「あの人は偉い人だけに愛想がいい」「あの人はヒラメだから」(魚のヒラメの目が上を向いていることから”上ばかり見ている”という意味)
というように、出世のためや、仕事をいただくためだけに媚を売ることとは違います。
また、上の人に好かれるような感じの良さとは「得な性格だから」「器用だから」生まれつきだと思い込み、「自分は不器用だから」と諦めてしまいがちです。
本当に好かれ、引き立てられる人というのは、仕事が出来るだけではだめで、相手に「どんな自分を覚えてもらいたいか」をまず設定して、考えて話しているのです。
最近、元ローソン会長の新浪剛史さんが、サントリーの社長に抜擢されました。
サントリー会長、佐治信忠さんとご一緒に会見されているときの新浪さんは、ローソンのトップ時代とはニュアンスを変えて「人にお仕えする」態度をとっておられて、大変参考になりました。
媚びずに、目上の相手を立て、「おかげさまで」という気持ちを言葉に表す。新浪さんの特徴は、声が大きくパワーがあり、目力を持つアイコンタクトを欠かさず、さらに、ものすごく口角が上がるので笑顔がわかりやすい。男性で「笑っているつもりなのに笑って見えない」ということが良くありますが、これは不機嫌に見えたり、納得していないように見えたりする場合があるので損をします。
素晴らしい経営者は大抵、「わかりやすい笑顔」が自然に出せる人が多いのです。
新浪さんは、実力もあるのですが、若い頃から常に目上の人に引き立てられて、出世なさってきた人です。
新浪さんを42歳という若さで東証一部上場企業のローソンの社長に引き立てたのは、三菱商事当時副社長で現在取締役会長の小島順彦さんです。
なぜ小島さんが新浪さんを抜擢したのか?
新浪さんの本、「個を動かす」に書かれていました。
・・・・(以下引用)・・・・
「そうでもなかったです。あれだけの勢いがあるヤツはそんなにいなかったですから。彼は私に平気で喧嘩を売ってくる」
――下からがんがんと言ってくるような人間じゃないと、一国一城の主は務まらないのでしょうね。
「そう思います。『この野郎、かわいくないヤツだ』と思うけど(笑)、冷静になって考えてみると、彼は自分の意見を持っているから立派なんです。上にモノを言う人間が大勢いると、経営がミスリードされなくていい」
・・・・(以上引用)・・・・
私はこれを読んで、「普通の人がこのまま真似をしては嫌われる」、新浪さんが特別なのではないかと考えていました。
しかし、佐治さんと一緒のサントリー会見の様子を見て、「なぜ新浪さんが好かれたのか」大いに納得したものです。
新浪さんは、相手にとって「どのような自分を覚えてもらいたいか」をきちんと設定して、考え抜いて接しているのです。時には悩んだこともあったと思います。これが長年継続されて身に付いているので、演じていたとしても、ほぼ「生まれつきではないか」と思えるほど自然に出来ているのです。
言うべきことをしっかり言っても嫌われない。それどころか「この人に任せたい」と思ってもらえる。
ビジネスで実力をつけることも大事です。
しかし、そういう人はたくさんいる。
それだけではダメなのです。
実力はあっても、ちょっとしたことで、「気力が感じられない」「頼りない」「何を考えているのか分かりにくい」「素直さがない」と思われると好感度は下がってしまいます。
そこで、好感度を上げるための3か条をお伝えいたしましょう。
1、よく響く落ち着いた低い声
説得力や安心感、人間の温かみが感じられ、若くても「この人に任せてみよう」と思われます。チャンスを与えてもらえることは仕事の成長につながりますので大事なことです。
2、笑顔とアイコンタクト
常にニヤニヤしているということではありませんが、やる気や素直さは笑顔、考えていることは目で伝わります。上の人から見ると、笑顔で対応してくれる人は「可愛げ」があります。
笑顔だと口角も上がり、口の中が広くなるので声も明るく響きます。
3、すぐ
何でもすぐにリアクションする。
トップになるほど忙しくなります(→情熱的でせっかちな人が多い)。すぐに返してくれる人ほど有り難いものです。例えば、返事一つでも「はい。」(→「。」までしっかり)とすぐ返す。「はあ〜い」や「はァ・・・(語尾が落ちる)」「はいはい(2回言う)」はNG。
同じ力があったら「どちらに頼もうか」と考えた場合、人間ならば、やはり好感度の高いほうを引き立てると思います。
3つとも、簡単にできるものばかりです。
ただ、甲高い声や、アニメ声の人は、少し気をつけて、落ち着いて低い声で話すように。オーラのある低い声を出すためのトレーニングの方法もあります。
より良い仕事をするために、「どんな自分を覚えてもらいたいか」。
ぜひ、一度よく考えて設定してみてください。