オーディションで最初からカワイイ子が評価されないのはなぜか
秋元康さんは、アイドルのオーディションで、最初からかわいい子は評価しないのだそうです。
秋元さんと田原総一郎さんの対談集「AKB48の戦略!」で秋元さんが語っていましたが、歌がうまい、踊りがうまい、プロダクションに入ってました、芸能スクールで練習してきました、という子は「磨いてもこの程度か」と考えてしまうのだそうです。
逆に、「足は太いけど、目はすごいよね」という子が選ばれると、不思議なことに自覚が出て来て、足が細くなっていき、「なんかいいね」と思った目もぐんと際立ってくる。良い顔になっていく。
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田原:おお、そういうもんですか?そんなに、きれいになっていくの?
秋元:そういうもんです。必ず変わって、どんどんよくなっていきます。やっぱり見られているということが、彼女たちには何よりのエネルギーなんです。
・・・・・(以上引用)・・・・・
ピアノでもそうです。
子どもの頃から「天才少女」「天才少年」と言われていて、なかなか大成しないことが多いのは、ある種の「大人の色」がついてしまっているのが一つの原因かと思えます。
子どもであるからには、ショパンの激しい苦悩が理解できるわけがない。そこに大人の色をつけていく。厳しいレッスンを乗り越えなくてはならないので、それはそれで素晴らしい経験をしているのですが、「におい」や「色」がついてしまうのです。
大人びた演奏を聞くと一瞬「天才か」と思われますが、実は、教えられて演奏していることがほとんどです。
秋元さんのように見極める目も大事ですが、キラッと輝く原石を見つけたら、周囲の大人が、本人が自覚が出てくるまでいじくらないで見守るくらいの度量が必要だと思っています。
もし、人を応援しようと思ったら、「全力で見ていること」。
これはただ見ているだけではなく、何よりも「全力で」ということが大事です。
私は、これはアイドルでも、音楽でも、企業でも、何でも同じだと思っています。
人は見られているということをエネルギーにして良くなっていきます。
お客さんからエネルギーをいただく。
心のこもった感想をいただけば、次への原動力になる。
素晴らしいプロフェッショナルであれば、一人でやっていけるように思えますが、そうではありません。
必ず、どこかで、有り難い人からのエネルギーをいただいて成長しているのです。