自分を蝕む仲良しグループで心中しないために
一流や出来る人を排除していく日本特有のコドモの組織。
コドモの組織から大人の組織へ変わらなければならない。
秋山進さん著「『一体感』が会社を潰す 異質と一流を排除する<子ども病>の正体 」(PHPビジネス新書)を読みました。
著者は、本の中で、知らないうちに自分を蝕む、皆が「仲良しグループ」で居心地のよい幼稚な組織と心中しないための警鐘を鳴らしています。
私は、様々な音楽関係の組織を見てきましたが、この本に書かれている企業の姿も、根本はまったく同じだと思いました。
だいたいにおいて同質化が進みます。力が見合わない人や、力があっても「変わった人」は、不思議なのですが自然にその組織を出て行くからです。その結果、組織の中は似たり寄ったりの人たちでまとまってしまうのです。
どうしてそのようなことが起こるのか?仕事でうかがっているうちに不思議な思いにとらわれました。
それを、この本では明確に「それはコドモの組織だからだ」と言い切っています。
・・・・(以下引用)・・・・
【一人前のレベルしか知らない管理職が多くなってくると、今度は一流をめざして「自律」しようとする社員は、その管理職から見ると脅威になりますので、そういう人を排除してしまいます。(中略)高い技術力よりも一人前レベルの技術力をもった同質性の高い人材が求めらていたことがわかります】
・・・・(以上引用)・・・・
これは、以前読んだ林真理子さんのエッセイ「野心のすすめ」にも同じようなことが書いてありました。
・・・・(以下引用)・・・・
【三流仲間は自分を出し抜いたりせずに、ずっと三流のままでいてくれるという安心感。周りはぼんやりしていてプレッシャーもないし、とにかくラクですから居心地が良い。三流の世界は人をそのまま三流に引き止めておこうとするやさしい誘惑に満ちているのです。】(以上「野心のすすめ」より引用)
・・・・(以上引用)・・・・
しかし、私が見ている限り、一流と言われる人、または一流を目指そうとする人、実はそちらにも問題があるケースも多いのです。
私は、音楽が専門です。
この業界は、羨ましくなるほど才能に恵まれた人たちが大勢いるのですが、そういう人ほど大抵は組織になじめない人が多いのです。もちろん、組織でやっていく必要がないほどの特殊な場合(親が資産家であったり、10年に一人の才能を持っていたりする)もあります。しかし、しょせんよほどのプロでも一人では何もできません。親やコネに守られているうちは良いのですが、だんだんと活動する場がなくなっていきます。
例えば、野球でいうイチローや、サッカーの中田英寿のような超一流と言われる才能のある人。
本によると彼らは「ほとんどの人には同じものに見えて、どちらでもよいことであっても、彼らにはまったく別のことであり、その違いこそが彼らにとって重要なことも多いのです。その差を理解する意欲も能力もない相手に対して憤りを感じても仕方ないでしょう」「一流を目指そうとしない組織内で、自分だけが一流を目指すことは大変難しいことなのです」とあります。
一流の人は、自分の力を磨くための時間をとっています。それはよく言われる「一万時間の法則」と同じで、ある程度の時間を費やさないと才能は開花しないからです。そして、常に勉強し続けていないと力はすぐに落ちてしまいます。
大変優秀な友人などは、「さらう時間が欲しい」「勉強する時間がほしい」と言って、いつも早足で歩いていたり、駅まで走って帰宅するほどです。そうなると、皆とのコミュケーションをとる場にはほとんど現れないか、また来たとしても何もコミュニケーションの取り方が分からずにいたりします。しかし、本人はコミュニケーションをとりたくないわけではないのです。本当は皆と仲良くやりたいのだけれど、できなくてジレンマを感じていたり孤独感を覚えていたりしているものなのです。最後は「変わった人」というレッテルを貼られてしまい、組織では上手くやっていけません。
本来、そういう優秀な人が組織のチームワークの中に入り力を発揮してもらえれば、組織の力はアップするはずなのですが、本人にも問題があり、弾かれてしまいフルに力を活かせないというのが実情です。
本では、この「変わった人」が組織でやっていくためのコツ書かれていて、大変参考になりました。
・・・・(以下引用)・・・・
【周囲から嫌われてはいけません。「少しだけ周囲の人たちのために力を使う。」というのが現実的ではないでしょうか
「一緒に残業はしてくれないけど困ったときには頼りになる人」といったポジションが組織内で得られると変人でもコドモの組織で生きていくことができます】
・・・・(以上引用)・・・・
しかしです。
これでは、かろうじて生きていくことができる程度。
本当に組織の力を発揮するためには、このどちらもが歩み寄れる大人の組織が必要です。
そのためにはこの本では、電通の鬼十訓より「摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる」と引用しています。
皆が堂々と一流をめざし、成長できる組織にするために、私は、「合唱チームビルディング」を考えました。
ここでは、お互いがフラットな関係になり、コミュニケーションをとれるようになるエッセンスが詰まっています。
チームビルディングを行ったあとは、次の日から空気感が違うのです。
合唱チームビルディングについては、またの記事で詳しく書いていきたいと思います。