「自分がどう言ってもらえたら嬉しいか考えて」究極のコミュニケーションとは
2014年、東京で視覚障害者によるブラインドサッカー(ブラサカ)の世界選手権が開催されます。
ブラサカは、視覚に障害がないか弱視者のゴールキーパー、監督、ゴールの裏に立つ「コーラー」が選手たちに状況を伝え、その指示を聴きながらサッカーをするのです。
昨日、NHK「サッカー情熱紀行」の『君の声が力をくれる』でブラサカIAPANの代表に選ばれた川村怜選手(25)が特集されているのを見ました。
川村選手は、人がいるのは分かるけれども、誰なのかは分からないというくらいの視力。もともと人とコミュニケーションするのが得意ではありませんでした。
しかし、ブラサカでは声がけが欠かせません。今では言葉で表現することの大事さを身にしみて感じていると言います。練習では積極的に声を出して、チームのムードメーカーとなっています。
そんな川村選手が、ブラサカの指導をするために小学校に訪れました。
小学生たちは、初めてのブラサカで言葉だけで状況を伝える難しさに苦戦します。
そのとき、川村選手は小学生たちに「自分がどう言ってもらえたら嬉しいか考えて」とアドバイスするのです。
具体的に、しかも相手の立場になって声をかけることで、ブラサカのプレーは上手くいくのです。
視覚の無い状況でも、確実に鋭いシュートを決める川村選手に小学生たちは拍手喝采でした。
相手の言葉が頼りの川村さんにとって「どう言ってもらえたら嬉しいか」は日々深く考えておられることなのだと思いました。
私が行う「合唱チームビルディング」においても、ディスカッションの時間をとります。
合唱というのは、自分ではなかなか全体の響きを確認できません。他のパートやパート内のメンバーからアドバイスを受けることが大事なのです。これは一般的な合唱では指揮者が注意するものなのですが、仲間同士でアドバイスしあったほうが効果が高いことと、コミュニケーションがとれるようになることがわかり、指揮者はあえていろいろと言わないようにしています。
そのとき、音楽という前提でコミュニケーションを行うと、上下関係や部門の垣根を乗り越えスムーズに言葉をかけられるようになっていきます。そうなると、とたんにハーモニーが良く響くようになっていくのです。これが組織力、チーム力なのだと思います。
ブラサカJAPANの川村選手たちは、究極のコミュニケーションで、体格の良い外国チームに対抗できる組織力をつけようとしています。
合唱チームビルディングにおいても「どう言ってもらえたら嬉しいか」を考え、さらに素晴らしい組織のハーモニーを作っていけたらと思っています。