声帯が感情に自動反応する「エッジトレーニング」
昨日の記事「上手な人は声帯を閉じることを知っている 今すぐできる『声帯閉じトレーニング』」では、声帯の閉じ方をお伝えしました。
声帯の閉じ方は分かった。でも、声帯をどのように応用させてつかっていったらいいのか分からないという場合のトレーニングをお伝えしましょう。
「言葉に多彩な表現を加えたい」
「いつも一本調子になってしまう」
「思い通りに言葉が出ない」
「感情表現しながら歌いたい」
さらに繊細な表現のためには、声帯の閉じ方を覚えて、音に音色や強弱をつけていく必要があります。
それでは、どうすれば思い通りの声を出すことができるのでしょうか?
「ア~」と声を出すときというのは、声帯は「閉じて」います。開いていると無声音になり「h~」と息が流れます。ヒソヒソ声はその中間で、声帯があまり閉じられていない状態です。
声帯は、強く閉じると強い声になります。弱く閉じると柔らかい声になります。閉じ方によって音色が変わってくるのです。
弱音や優しい声、柔らかい声を出したいとき、息をひそめて流れを落としまいがちですが、実は違います。
息の流れを落としてしまうと、声は響かなくなってしまうのです。
プレゼンなどの場で話すとき、マイクを使っていたとしても、音の響きが落ちることは、説得力にかけて伝わらなくなってしまいます。ホールで歌っていたり、スピーチをしていたりする場合も同じです。
また、「大きな声を出そう」と思うと大抵の人は、「わあっ!」と声帯にストレスをかけて声を出してしまいます。「声を出しているとすぐにノドがヒリヒリする」「夕方になると声がかすれてしまう」という人は、声帯の閉じ方がいつも同じで、強くストレスをかけながら発声しているのです。
特に、プレゼンや会議などで「聞こえないよ!もっと大きな声で!」」などと言われると、たいていの方は無理に声を出してしまいます。でも、それはノドを締め上げて声帯にストレスをかけているだけなので持続しません。すぐに元の声に戻ってしまうのです。
イメージする声に近づけるために、強引に力で持っていっているのです。そして、見ていると、やはりほとんどの方はそうしています。
声帯による出し方には二通りあって、声帯に力を入れて出す方法と、力を入れないで出す方法とあります。
当然力を入れないで出す方法が良く、声帯は、自分が出したいとイメージする音を調整しているだけで良いのです。
そのためには「自分の出したい声を声帯に最小限のエネルギーで発声することを声帯に覚えさせる」ことが必要です。
そのための、「エッジ」のトレーニングをご紹介いたしましょう。
◆エッジトーン
1、あごを下げて舌を十分にのばして舌先を下の歯につける。これが基本のポジションです。
2、基本ポジションのまま、「あ~」と言うつもりで、声になるかならない寸前のところで発声する。「呪怨」の「あ”あ”あ”・・・」に近い声です。
★ポイント:力を込めないこと。軽く、薄く、リラックスして出せていることが大事。「あ”」の振動が高いと声帯にストレスがかかっているので、なるべくゆるやかな振動で行うように。すこし湿り気のある音で聞こえるのが理想。
3、エッジトーンの「あ”」から、「あ”~あ~~」と「あ」の母音にスムーズに移行する。
★ポイント:母音に移行するところで無理やり持っていかない。「あ」の音程がエッジの高さと同じになるようにすること。
4、もし鍵盤楽器があれば真中のドあたりから、半音ずつ下降し、出せる低さまで行ってまた半音ずつ上がって戻ってくると良い。鍵盤楽器がない場合でも、しゃべり声よりう少し高い音から始めて少しずつ低い音にしていく。
このトレーニングでは、声帯がストレスなく発声できるようになります。また、声帯が感情に反応することを自動的に覚えていきますので、「優しい声を出したいときは息を流して声帯を緩く閉じる」「強い声を出したいときは声帯をしっかり閉じる」などのコントロールが出来るようになっていきます。