腹式呼吸はできるけど、腹式呼吸のまま歌えない!! それはなぜか?
「発声練習ってやる意味あるの?」って思いませんか?
私はそう思っていました。
なぜなら、「腹式呼吸」「腹筋」「滑舌」「ノドを開ける」「頭のてっぺんから声を出す」、何年も一生懸命やっていました。
でも、声はほとんど良くなりませんでした。
基礎的なトレーニングを継続し「あるとき掴むもの」のようでした。先生のおっしゃることは間違っていないのですが、それは本当に雲を掴むような感覚で、質問もしてはならない状態が続きました。それはボイストレーニングというより、一つの修行だったかもしれません。
私は「表現」はあとから深めていくとしても、結果をすぐに知りたいと思っていました。
ちっとも変わらない声を聞いていて「このトレーニングをしていて本当によくなるのかな?」と常に疑問を持ちながらトレーニングしていたのです。
例えば、「腹式呼吸」。
「ハイ、息を吸って〜、お腹を膨らまして〜、ハイ、息をはいて〜、お腹を凹まして〜」というかけ声を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
この方法は間違っていません。健康のためにも良いのではないかと思います。
しかし、いくらトレーニングをしていても「腹式呼吸はできるけど、腹式呼吸のまま歌えない!!」のです。
あるとき気がつきました。
息をはくときお腹を凹ましていると、「声が貧弱になる」「音程が下がる」「音痴に聴こえる」のです。
息をはくとき、つまり、「声を出すときは、お腹は凹ましてはいけないのだ」ということなのです。
それは、スイス人テノール歌手のエルンスト・ヘフリガー先生のレッスンで知りました。
声を出すときは、お腹は張っている状態にすると、声はとたんに良くなりました。
それは、呼吸をつかさどる筋肉(インナーマッスル)である「横隔膜」をしっかり使うためには、お腹を張った状態を出来るだけ維持することが必要だからです。
ただ、お腹を張り返したまま発声するのは最初はなかなか慣れません。
お腹を張り返し、横隔膜を鍛えながら発声する方法はないものかと思いました。
そこで、発声しながら横隔膜が使えるトレーニングがこちら↓です。
最初の数回はティッシュペーパー1枚と鏡を使って効果を確かめながら進めます。慣れてきたらティッシュと鏡は不要です。
☆☆横隔膜トレーニング・ボイス☆☆
【手順1】両手を肋骨の下のお腹に当てます。
【手順2】顎を下げて口を開け、リラックスして、ゆっくり大きく息を吸います。肋骨下のお腹がパンと張り返しているのを確かめてください。
【手順3】口を閉じ、唇のわずかな隙間から力強く息を吐きながら、「ふぅ〜〜〜」と小さく声を出します。「声:息=2:8」のバランスで息がメインです。頬と鼻の下が息でパンパンにふくらむように。息を吐いていくと、お腹は少し凹んでいき
ますが、それに抵抗するように、がんばってお腹を張り返してください。(確認のためにティッシューを口の前にかざすとティッシューが地面と平行になるくらいの息の量です。口のふくらみも鏡で確認してください)
【手順4】5秒間発声したら、ふたたび口を開けて手順2に戻ります。
【回数】手順1〜4を5回繰り返します。
(トレーニング引用:「DVD付リーダーは低い声で話せ」より)
これなら、口を膨らますことで、しっかり腹圧がかかり、お腹が張り返しやすく、横隔膜を鍛えながら発声することができます。
レベルアップの方法として、「横隔膜トレーニング・ボイス」に慣れてきたら、【手順3】の途中で、口を開けてみるのもおすすめ。
口を閉じ、唇のわずかな隙間から力強く息を吐きながら、「ふぅ〜〜〜」と小さく声を出し、途中で口を開けます。
そうすると「ふぅ〜〜〜わあ〜〜〜〜」となり、「あ〜〜〜」と発声するときにお腹を張り返した状態を維持します。「あ〜〜〜」の声は、ここではあくまで横隔膜のトレーニングなので声は大きすぎなくても大丈夫です。