緊張するのは悪いことではない
何度やっても本番は緊張します。
最近は、ボイストレーニングの講演をさせていただく機会もあり、そういうとき「プレゼンの第一声がちゃんと出るだろうか」「途中で頭が真っ白になるのでは?」など、ピリピリと神経が高ぶります。
しかし、緊張感を持つことはとても良いことだということ、そして、緊張感を持ち続けることはそう簡単なことではないことが分かってきました。
何度も講演させていただき、慣れてきた内容だと少し緊張は和らいでいきます。そうすると、安定して余裕が出てきます。これは良い面です。
しかし不思議なことなのですが、聴衆は違うのに、慣れた内容であればあるほど、なぜか緊張していた最初ほどウケないような気がします。
これは、悪い意味で、聴衆に手慣れた感じが伝わっているのだと思います。
緊張で何を話しているのか分からなくなってしまうのは良くないのですが、ギリギリのところで集中している様子は必ず伝わっています。
これは音楽の演奏でも同じだな、と思いました。
いつも初めてのときの感覚を忘れずに演奏することの難しさ。
プロの演奏から「これはたくさんやっているうちの一つです」という声が聞こえてくることがあります。
こういうとき、回数を重ねることと、初めての感覚を維持し続けることの難しさを感じます。
私の場合は、講演において、同じネタであったとしても、お客さんによって変化させていくようにしています。
そうすると、自分自身の緊張感を維持することができるような気がします。
そうはいっても、私自身は、まだまだ余裕を持つほどの領域ではありませんから、良いご縁をいただいたら精一杯貴重な経験をさせていただきたいと思っています。
緊張は良い面もあるのですが、ありすぎると声に影響します。
ノドに力がはいってしまうからです。
こういうときは、必ず横隔膜を意識するようにしています。
そうすると、かわりに横隔膜が頑張ってくれて、ノドはかなり開放されます。
講演前に廊下で横隔膜ブレスをしている人がいたら、それは私です。