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ライフワークとしての学びを考えます。

知らないうちにモテのダメ押しをしているのはあなたの声です

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今日はちょっと業界のお話から。

良い指揮者に共通しているものがあります。

それは声が良い事。
それも、低くて、良く通り、深みのある声。

オーケストラのリハーサルでは、楽器が鳴っているところで声を出して伝えなくてはならない場面が多いですし、100名規模の楽団ですと後方の奏者まで届くように声を出さなくては伝わりません。オペラや合唱つきのオーケストラの作品、オラトリオなどになってくるとさらに大規模ですし、自ら歌って表現を伝えたりしますから、指揮者にとっての声はなくてはならないものです。


また、オーケストラは一人一人が一家言持つプロフェッショナル集団です。
その方々に伝えるためには「キンキン声」だったり、「甲高い声」だったり「弱々しい声」では、なかなか「この人の指揮で音楽をしたい」と思ってもらえません。

朝から一日稽古やリハーサルをしていて、喉で発声していたのでは声が持ちません。
良い声を持たせるために、喉ではなく「横隔膜」を使わざる得ないのです。
声楽の経験が豊富でなくとも、どんな声を出せばいいのか、直感的に磨かれていくのでしょう。
良い指揮者は、ほとんどが「横隔膜」でしっかり発声されています。

棒一本で世界を渡り歩くためには、才能と人間力、そして「声」が必要なのです。
仕事で鍛えられ、経験豊富な指揮者ほど声は良くなっていきます。


プロのオーケストラと合唱付オーケストラ作品の日本初演を数多く行ったY先生と初めてお会いしたときは驚きました。
稽古場の壁がビリビリと振動するような良い声なのです。
私はその声を聞いて、瞬間的に背筋がピンとのびたのを覚えています。
Y先生は、ピアノ科のご出身。声楽家ではないので、どこからこんな声が出せるのかと思いました。

練習は凄まじい気迫で、彼の棒の下、全員が夢中になり、白熱した音楽を繰り広げていました。
鍛えられた本物とはここまで違うものかと圧倒されました。

もう一人声の良い人をご紹介するとなると、ある時期かなりお仕事をご一緒させていただいた指揮者のD先生です。

D先生と初対面でお会いしたのは、ある青山のカフェでした。
そこは、わりと感度の高い業界の方々がよく集まるカフェで、その日も女性のお客さんで席が埋まっていました。

私は先に到着してD先生をお待ちしていたのですが、彼が入ってくるなり、周囲の女性の方々がみんな「ハッ」と顔をあげて注目したのです。

身長は180cmほど。大柄で、目の奥に力があり、当時40代前半でらしたと思うのですが頭髪は白髪で真っ白なのです。
でも、ただ立っているだけで人を惹き付ける魅力があり、確かに振り返ってみたくなる気持ちは分かりました。

そして、もっと驚いたことがあります。

低くて良く通る声で「お待たせ」と言い、席に座った時、その声を聞いて周囲の方々がまた「二度見」したのです。

声で「ダメ押し」してしまった感じでした

その周囲の反応をD先生はまったくお気づきになっておられないようでした

このときのまるで意識しない天然な様子から「もしかしたら今後の仕事関係で女性が放っておかないかもしれないなあ」という考えがチラリと私の頭をかすめました。その直感は当たり、実に爽やかによくモテていたのです。

そう、D先生との初対面での出来事は、今でも鮮明に思い出せるほど印象深いものだったのです。

私は、それらの経験から「低い声は得だ」、「声楽家でなくとも、良い声は仕事で必要だ」ということに少しずつ気がつき始めました。

もちろん内容も大事です。
しかし、その上で「声」を持っているか持っていないかで、人生が変わってくるということがあるのだ、と感じました。

声は指揮者だけではありません。

ビジネスパーソンも仕事で成功するためには、自分の思いを伝える声が必要です。
これからの時代、声を手に入れることで、ビジネスの道も拓かれていくのではないでしょうか。

低くて明瞭に良く通る声を出すときは横隔膜です。横隔膜を意識できるようになると、まるでスイッチを入れたように声が変わります。ぜひ横隔膜のボイストレーニングを行ってみて下さい。

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