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ライフワークとしての学びを考えます。

日本人は競争に弱い しかしチームが仲良くなれば強くなれる

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嬉しいことに、日本フィギアの大活躍が目立ちますね。

全日本選手権大会優勝の鈴木明子さんがその強さの秘密を語っています。

それは、みんなが仲良しで、仲間の失敗を願ったりせず、みんなで共に成長していこう、という空気があったからなのだそうです。

一般的には「競争させることがチームのレベルアップにつながる」と、よく言われます。
そして、「世の中は所詮競争だ」と。
フィギアも、鈴木さんの言葉は綺麗ごとで内面は熾烈な競争があったのではないのか?と勘ぐりたくもなります。

しかし、日本人の精神と文化について書かれたR・ベネディクト著「菊と刀」を読むと、鈴木さんの言葉があらためて説得力を持って響いくるでしょう。
ベネディクトが外国人であるにもかかわらず、日本の分析に関する決定的名著だと思います。

「菊と刀」によると、日本人は競争があると作業能率が著しく低下するのだそうです。

     ・・・・・(以下に要点を抜粋・引用しご紹介します)・・・・・

・われわれ(外国人)はたった一人でやる仕事を授けられた時には、競争者のある場合に挙げる成績に達しない。日本人は、子どもたちの場合、競争を遊び半分に考え大して気にかけない。ところが青年や成人の場合には、競争があるとき作業能率がぐんと低下した。

・競争相手といっしょにさせると間違いだし、速度もはるかに遅くなった。進歩を彼ら自身の成績と比較しつつ測定する時に最も良好な成績を挙げた。

・負けるかもしれないという危険にすっかり心を奪われ、仕事のほうがおるすになってしまう。競争を外から自分に加える攻撃と感じる。

・日本の小学校では競争の機会を考えられないほど最小限にとどめている。自分を他の児童と比較する機会を与えてはならない。

     ・・・・(以上要点を抜粋・引用しご紹介しました)・・・・・

本を読むと、日本人の血に色濃く流れている「恥の文化」がそうさせるようです。

失敗してしまったときの他人に対する恥。
だから、成果を挙げたければ、恥になる事態を出来る限り最小限にし、避けなければならないのです。

その事態さえ避けられれば、日本人は大変な力を発揮します。

ただ、人は、自分だけが一人勝ちしようというエゴを持つものです。

「あの人が失敗すれば順位があがる」
「あの人が怪我をすれば代表に選ばれる」

人は、実際そう思わなくとも、どこかでひそかにエゴが叫ぶことがある。

しかし、フィギアの皆さんが、そのエゴと和解していたことで、強さを得て、心の美しさが演技に表現されたのかもしれません。

私が「合唱チームビルディング」にこだわる理由も、そこにあります。

誰かが、目立とうとか、あいつに勝とうと思っているだけで、ハーモニーは崩れます。
いかに仲良くなったかが、出てくるその音に生々しく直接表現されるのです。
そして、合唱チームビルディングは、誰かを蹴落とす必要もないし、逆に失敗を歓迎します。

なぜか?
それは、合唱では、事前にたくさん失敗しておかなくては、成果があがらないからです。だから、合唱チームビルディングでは、みんな「悔し嬉し」そうに失敗しています。

ハーモニーで声を合わせることで、魂が抱き合う。
今の時代、ここまで一人一人が主役となり、他人と一緒になれるものはないのではないでしょうか?

これから、日本が国際的に活躍していくために、チームの力が必要だと思っています。

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