声が出ないのは、あなたの横隔膜がまだ本気を出していないだけ
先日、ボイストレーニングのレッスンに訪れたBさんは会社の経営者です。
人前で話すのがあまり得意ではないとおっしゃいます。出来れば他の人に任せたいと思っているほど。
しかし、最近会社が拡大し、大勢の人前で話す機会が増えそうなので困っていらっしゃるということです。
しかも、会社でしゃべると、いつも社員の皆さんに眠そうにされると言うのです。
今まで、いろいろなボイストレーニングについてきたけれど、声が出るようにならないとおっしゃいます。
Bさんに発声していただくと、声を出すときに息が止まっていました。
「息が止まる?そんなことしたらしゃべれないじゃないか!」と思われるかもしれませんね。
「息が止まる」とは業界用語で、「息が流れていない」ということです。
息が流れないと、言葉が切れてボソボソ、トツトツとした話しかたになってしまい説得力がなく、どんなに良いことを話していても眠くなってしまうのです。
息の流れは、肺の下あたりにあるドーム型の筋肉、「横隔膜」の動き次第で決まります。
だから、どんなに大声をあげて頑張ろうとしても、横隔膜がしっかり使えなければ、声が出ないのです。
お腹に手をあてながら呼吸してみると横隔膜の動きが分かるのですが、Bさんのはシーンとしていて、たまにほんの少ししか感じられません。
もし、声が出ないと悩んでおられるのなら、それはあなたの横隔膜がまだ本気を出していないだけなのです。
横隔膜をしっかり使って話しているときというのは、飲み物を飲んだり、食べたりしたすぐ後だと、胃に動きが伝わり、お腹がギュルギュルいってしまうほど使います。
私も、講演のときなど、横隔膜をしっかり使っているときは、たまにお腹が鳴ってしまい恥ずかしいこともあります。本当はしっかり食べなくてはパワーがでないのですが、講演前はたくさん食べ過ぎないようにしています。
先日発売した「DVD付 リーダーは低い声で話せ」のDVD録画では、10月だというのに真夏日で、しかも冷房を止めての撮影。暑いので水を飲みながら行わなければ熱中症になってしまいます。ところが、水のおかげで本番で思い切りしゃべると、意志とは関係なくお腹が鳴ってしまうのです。それでも横隔膜を意識しなければ良い声は出せません。
感度の良いマイクを、ちょうどお腹のところにつけているので、音を拾ってしまうのではないかとヒヤヒヤしながら話していました。
録音技師の方に、声の確認ではなく「今、お腹の音拾っちゃいました?」と聞きながら行っていたんですよ。
「OKです」とおっしゃっていただくと安心しました。
もちろん、本番では雑音は入っていませんけれど・・・。
話しは戻って、Bさんには、とにかく思い切り横隔膜を使っていただく練習をしたところ、やっと動きが出てきました。
そうすると息が流れて、同時に声も流れるようになっていきました。
Bさんの横隔膜が本気を出し始めたところです。
声が出ない、良い声で話したいと思われたら、とにかく無理に声を出そうとせずに、横隔膜を使うことを意識してみてください。
横隔膜のトレーニングを知りたい方は、下記記事か、下記の書籍を読んでみてください。
ブログ:どんなに他のボイストレーニングが成功していても横隔膜が使えていないと良い声は出ない 横隔膜の簡単なトレーニング