99%の人は自分の良い声を知らずに終わっている 自分の良い声を簡単に体感する方法を教えます
私たちが、「良い声で発声しましょう」と言っても、良い声で発声できている状態というのは、なかなか自分自身で体感できないものです。
例えば、陸上100メートル競走で9秒台を出すようなアスリートはいったいどんな世界が見えているのか。
凡人の私には到底不可能なのを承知で、人間が成し得る可能性の限界に挑戦する彼らの体感している世界とはどんなものか、想像力を最大限に働かせてみることがあります。
陸上短距離走のトレーニングで、スピードを体感するトレーニングがあると聞いたことがあります。
身体とスクーターをベルトでつなぎ、スクーターに引っ張ってもらって走るトレーニングで、簡単にスピード感を体感できるのだそうです。まずは世界最速のスピード感を身体で知ることで、トレーニングに生きてくるということでしょうか。
声もほとんどの人は、ご自分で良い声が流れている状態というのを知りません。
知らないので、ただ単にノドで頑張ってしまい、これが良い声だと思い込み、永久に良い声を知らずに終わってしまうのです。本当はどんな人でも簡単に良い声が出るはずなのに、本当に残念なことです。
良い声で発声できている状態のとき、第一の条件として、なによりも大事なのは「声が出せている」のではなく、「息が流れているとき」です。
ここを99%の人は勘違いしています。
プレゼンやスピーチ、また、営業さんの説明が聞き取りにくいのは、本当に困りますね。
聞いていて疲れますし、何度も聞き返すのが申し訳ないので、途中で聞こうとすることを諦めてしまうこともあります。
プレゼンなどで聴こえないときは、たまにお客さんにしっかりした方がいて「聴こえないのでもう少し声を出してください」とおっしゃる方がいます。そうすると、話し手のほとんどの人は驚いたり動揺して「ノドで頑張って」しまいます。
一瞬は大きな声が出るのですが、怒鳴っている状態に近いので遠くまで聴こえませんし、ノドは鍛えることができないので、すぐに疲れてしまい、また元のボソボソとした小さな声に戻ってしゃべっています。
私が、ボイストレーニングで、なぜ横隔膜を用いるのか、理由があります。
横隔膜は呼吸をつかさどる筋肉で、肺の下にあります。
横隔膜を鍛えることで、息が十分に流れ、良い声が出るのです。
この横隔膜を存分に使えているとき、身体全体がどのような感覚になっているのか?
また、良い声で発声している人たちは、どのような世界が見えているのか?
まずは知ることが大事です。
私が、セミナーやレッスンで、横隔膜のスイッチを押してあげて、発声方法をお伝えすると、どんな人でも目を丸くして驚かれます。
「自分ってこんな声がでるの?」
「意識してないのに勝手に声が変わる!」
横隔膜は、エンジンのピストンのように上下に動き、空気を流してあげる役割を果たします。
このピストンがしっかり鍛えられれば、何もしなくとも声はでてしまうものなのです。
そのために、専門的には「ビブラート」と言いますが、良い声の人は横隔膜を上下にしっかりと動かしてあげて、空気を送り込んでいます。
まずは、手で人工的に横隔膜を動かして上げることで初速をつけ、良い声が出ている状態を身体で体感していただくことが大切です。
良い声が出ている状態を知り、その上で横隔膜を使えるようにしていくと、良い声に最速で近づくことができます。
その方法は、息をすって「はあ〜〜〜」と言いながら、肋骨に一番下の骨の際をリズミカルにグイグイ押してあげることでも体感できます。
また、下記の本に「ブルブルトレーニング」としてさらに簡単で確実な方法が書かれています。私が実演しているDVDもついていますので、もし機会がありましたらば、参考にしていただければお役に立てるかと思います。