最近「福山雅治さんみたいな声になりたい」と言う方が多いけれど福山さんの声ってそんなに良いの?
男性に理想の声をお尋ねすると、圧倒的に多いのが「福山雅治さん」です。
福山さんの声の特徴は、響く低音にあります。
ただ声が低いだけではなく、よく響く声なのです。
福山さんの低く響く声は、包み込まれるような安心感があり、どんな内容のことを話していても説得力があります。彼が周囲から「先生」と呼ばれているのも納得がいきます。例えば、ラジオ番組でたまにお話しするような、多少ハメを外したような内容であっても許せてしまうような声なのです。
これはずいぶん得をしていると思います。
ある時期、外資系やベンチャー企業のトップセールスさんたち何人かに取材させていただいたことがあります。
彼らに必ず共通していたのものがあります。
とても低くて良い声だったことです。
お話をよくうかがうと、いつからか「ゆっくり」「低い声」を使うと、ビジネスがうまくいき、人前で話しても評判が良いことが分かり始め、意識して使うようになったと何人かの方々が話しておられました。
その中の一人の営業さんから、皆さんと一緒の飲み会によばれたことがあります。お酒の入った席で、まるで呼吸するように下ネタを連発しておられましたが、だれも不愉快になる方がいないのは見事だと思いました。
また、女性でも、仕事で上のポジションの方は大抵、低い声の方でした。お酒の席でも率先して気取らない雰囲気で話し、部下から好かれている方が多かったですね。
そういう方々は、仕事で意識して低い声をチョイスしてきているようでした。
そのときから「低い声は得だなあ」と思うようになりました。
福山さんの低い声をよくよく聴くと、必ずしも透明感があるわけではありません。少しザラザラした感触で、ビリビリと振動を感じます。
ハスキーボイスというわけではありませんが、この振動が響きを作る上で大事です。
楽器のチェロやバイオリンは、離れて聴くとすごく美しい音ですが、演奏している間近で聴くと、わりと「ガリガリ」とした雑音が聞こえ、遠くで聴いているほどでもありません。しかし、こういう音のほうが、遠くにいって聴いたときにエネルギーを感じさせる音なのです。
福山さんの声は、そういった、良い楽器のような響きがしています。
「福山さんの声になりたいけど、声が綺麗じゃないからなあ」という方でも、じつは声をしっかり響かせることができれば、福山さんのような声になることは夢ではありません。
今度出版した本「DVD付 リーダーは低い声で話せ」でも「福山ボイスになりたい」という方の事例を書かせていただきました。その方は低音のためのトレーニング「低音トレ」の結果、部下を持ち、人前でもしっかりとお話できるようになっています。
「低音トレ」は高い声の方でも、低く落ち着いた声を出せるようにするためのトレーニング。
どんな人でも諦めなければ声を変えることができるのです。