オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

「半沢直樹」の黒崎はなぜトップになれないのか

»

普段ほとんどテレビを見ませんが、「半沢直樹」シリーズだけは見ています。
 
俳優陣のキャスティングが見事だと思っています。
特に、リーダーシップを持つ人の声という点から見ても興味深い。
 
主役である東京中央銀行・営業第二部次長の半沢直樹役に、堺雅人さん。
東京中央銀行・常務の大和田役に、香川照之さん。
そして、金融庁・主任捜査官の黒崎役に、片岡愛之助さん。
東京中央銀行・頭取役の中野渡役に、北大路欣也さん。
 
ズバズバ物を言うヒーロー。同僚や部下たちから慕われている半沢役を、堺雅人さんは、持ち前の、芯があり力強い良く通る透明な声で、生き生きと演じています。
見ているほうが、スカッとした気持ちになれるのも、あの声あってこそ。
 
大和田役の香川照之さんは、歌舞伎役者修行をされて、以前よりさらに、声の使い分け、間の取りかたと目力を使った演技が素晴らしくなっておられますね。
絵に描いたような悪のボスを、いかにもそれらしい低い声で、こちらの期待通りに演じてくださっています。
威圧感のある低音で、部下たちは、大和田の思い通りに動かされてしまう。
時代劇で言うと、「悪代官」の役どころでしょうか。
大和田が悪ければ悪いほど、半沢を応援したくなってしまう。まさに、作者、池井戸潤さんの思う壺です。
 
歌舞伎役者、片岡愛之助さんは、甲高い声のオネエ言葉で銀行を追い詰める、切れ者の金融庁のボス、黒崎を演じています。
片岡さんは、歌舞伎の家柄出身ではないこともあり、あそこまでの役をこなすようになるために大変な努力をなさったそうです。あの物凄い目の演技は、歌舞伎の「大見得を切る」ときを彷彿とさせます。

私は、この黒崎をみると、真のトップになりたくてもなれない、日テレ「GIP!」で放送されていたショートアニメ「おはようガッチャマン」のベルクカッツェの、甲高い声とオネエ言葉をイメージしてしまいます。
一方、ベルクカッツェのボスであるギャラクターの総支配者、総裁Xの声は威厳があってとても低い。姿は幻のようですが、実際には声だけで組織を支配していました。この総裁Xの声、どんな人が聞いても、「この人がトップだろうな」と納得してしまうような声になっているのです。

ドラマもアニメもフィクションです。想像の世界です。でも、想像の世界だからこそ、人の夢や希望が象徴的に表れているのではないかと思えて仕方ないのです。
人は、自然とトップに立つ人やリーダーに「リーダーだったらこういう声でしょう!」という気持ちを持つものです。
だからこそ、トップに対して「低い声を求めてしまう」のではないのかと思えます。
 
ベルクカッツェも黒崎も、役の上では甲高い声が気になります。もし、もっと上を狙うのならば、もう少し声を低くしたほうが良いかもしれませんね。
 
堂々たるトップとしての存在感を示しているのが、頭取役の北大路欣也さん。
円熟味のある低く落ち着いた通る声は、さすが北大路さんです。
まさに理想のエグゼクティブの声です。
 
他にも、伊勢志摩ホテルの羽根専務役、倍賞美津子さんの声なども、ドラマを見ているのに、役柄の声がついつい気になってしまします。
 
ストーリーの面白さと、役者さんの声、この両方からドラマを見てみると「半沢直樹」もさらに楽しめるかもしれません。

Comment(0)