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ライフワークとしての学びを考えます。

響く声は口を開けずに顎をさげる

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声が小さい。声が通らない。響かない。
 
ボイストレーニングに来る方の共通の悩みでもあります。
 
以前の私も、声がモゴモゴして響かない声でした。
 
大きな声を出そうと思ったら「口を大きくハキハキとあけなさい」と良く言われていますね。
 
これは間違っていません。正しい方法です。
 
しかし、あまり口の前を開けずぎると、響きが散ってしまい、かえって声が通らなくなってしまうということがあります。
また、口が大きく開きすぎていると、唇を閉じて言う「m」などの子音で時間のロスがあったり、子音を言うときに舌が届かずに滑舌が悪くなってしまいます。
そして、あまり口がパクパクしているのは、ビジネスのシーンやフォーマルな場では、見た目があまりエレガントではありません。
 
口が開いている、というよりか、口の中が開いているほうが良いのです。
 
ただ、日本人の場合は、アゴの骨格が小さく、最近の人はあまりものを噛まなかったり、大きな声を出す機会もないので、だんだんと口の中が狭くなってきてしまっています。
そのため、声がぺちゃっとして舌足らずのような話し方が増えてしまっているのです。
私も、顎が小さいため、上の親知らずはいまだ生えず、下の親知らずの歯が曲がって生えてきてしまい、歯では苦労しました。
 
そういうわけで、私もご他聞に漏れず口の中は狭かったのです。それで声も響かない。、 
それをどのように改善したか。
 
一番のポイントは、ボイストレーニングのときに、口の前はあまり開けずに、常に顎を下げるようにしていました。
レッスンでは「他の人より本当に顎が小さいね」と言われ、顎を少し前に出すように下げて、「受け口」に近い感じで顎を下げるようにしていました。だから、発声のときだけは少し受け口になります。そういえば、良い歌手の顔を見ると、顎が後ろに引いている人はほとんどおられません。
 
そして、口腔内は、歯と歯の間はいつも空間が開いていて、舌を下げて舌先を下の歯にさわっている状態を維持します。
 
私は、実は子供の頃受け口で、歯列矯正で受け口を治していましたが、大人になって今更また受け口の練習をすることになるとは思いもよりませんでした。
最初は、顎が硬く、また口周辺の筋力もなかったことから、ボイストレーニングすると口が疲れていました。、でもトレーニングが進歩すると、口の中をいかに開けることが大事なことか響きをきけばすぐに分かります。
 
ドイツの名歌手でシュバルツコプフという人がいたのですが、小柄だったので、ヨーロッパの歌手たちと差がついてしまいます。そのため、口周辺の作り方を細かく工夫していました。口の開け方はもちろん、アヒルっぽく上唇をほんの少し前に突き出すことも、おなじように骨格の小さい日本人の生徒さんに勧めていました。こんな少しのことでも、響きが劇的に変わります。
 
職人は、その職業に合わせて体を作りかえると言います。
声も楽器です。
自分のカラダという持っているカードで勝負するしかないのです。楽器に合わせた体を作っていくことも大事なことだと思っています。

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